2005 Fiscal Year Annual Research Report
マグマ破壊特性の定量化と計測手法開発を目指した模擬物質の破壊実験
Project/Area Number |
17540391
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市原 美恵 東京大学, 地震研究所, 助手 (00376625)
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Keywords | 破壊 / 流動 / マグマ / シリケイトメルト / 圧縮試験 / ガラス転移 / 歪み速度 / 温度 |
Research Abstract |
今年度の目標は、破壊実験のためのマグマ模擬物質の選定、試料作成方法の開発、及び、実験装置の設計であった。 マグマ模擬物質としては、ディオプサイド-アノーサイト共有点組成を持つ、合成シリケイトメルトから作ったガラスを用いることにした。この組成のメルトを撰んだ理由は、比較的低粘性のマグマの構造を模擬すること、基本的な物性がよく調べられていること、比較的低温のガラス転移温度を持つことなどである。試料の作成は、試薬調合-融解-型取-アニール-切断成形-研磨という手順で行った。 作成した試料を用いて、圧縮試験を行った。実験は、研究協力者であるダニエル・リッテル教授(イスラエル・テクニオン大学)の研究室で行った。低い歪み速度(0.001 1/s以下)の試験には、油圧制御式の圧縮試験器(MTS661.23B-01)を用い、高い歪み速度(〜1000 1/s)の試験には、Kolsky bar (Hopkinson bar)装置を用いた。共に、圧縮軸として、900℃付近まで使用できる耐熱性ニッケル合金(インコネル718)を用いた。 ガラス転移条件をまたぐ広い温度、歪み速度の条件で計測を行った。その結果、弾性変形・破壊・流動という多様な挙動が観察された。室温で行った試験では、1.5GPaまで亀裂面が入ることなく、その後一気に試料が粉砕し、飛び散った。また、ガラス転移を十分流体側に超えた条件では、試料の流動による大変形が見られた。その遷移域では、ある応力まで弾性変形した後組成流動が顕著になるような振る舞いが見られた。また、高い歪み速度の試験では、ガラス転移温度よりも十分高い温度でも、試料は1GPa程度の応力まで耐え、その後粉々に粉砕した。現在、破壊や大変形を伴うマグマの挙動について考察を進めるとともに、所属機関にて破壊実験装置を組み立てているところである。
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