Research Abstract |
前年度までに行った,合成シリケイトメルトの試料を用いた圧縮試験,3点支持の曲げ試験による破壊試験の結果を元に,物質の変形と流動を記述する数学的モデルの構築を行った.火山学の分野で一般的に使われている線形粘弾性モデルでは,非定常な応力・変形場のマグマの挙動を記述することのできないことが明らかになった.まず,粘弾性物質中で急減圧を受けた気泡周囲の応力蓄積過程について,数値計算を行い,応力蓄積の条件を導いた(Ichihara,2008).また,応力蓄積過程における,粘性・粘弾性・物質拡散・慣性など様々な要素の影響をまとめ,定量的に評価した(Ichihara and Nishimura, accepted).それらの知見を,マグマ模擬物質を用いた破砕実験の結果に応用し,破壊物性の時間依存性の重要性を確認した(Kameda, et. al., submitted to GRL).また,マグマの変形特性を支配するミクロなメカニズムの考察と,構成方程式の数学的解析から,時間に依存する流動特性を記述するモデルを提案した(市原,2007).一方,合成シリケイトメルトのガラス転移点付近の挙動について,実験データを解析し,履歴や内部緩和の影響を評価した.その結果,歪硬化性のあることが明らかになった.歪硬化性は,これまでのマグマ破壊モデルではほとんど考慮されていなかったが,流動から破壊へ遷移する過程においては重要な役割を果たしていることが予想される(Ichihara, et. al.,2008).
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