2006 Fiscal Year Annual Research Report
帯域地震波形データを用いた波形インバージョンによる異方性構造の詳細化
Project/Area Number |
17540392
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
ゲラー ロバート 東京大学, 大学院理学系研究科, 教授 (40170154)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
竹内 希 東京大学, 地震研究所, 助手 (90313048)
|
Keywords | 異方性 / D"層 / 遷移層 / 偏微分係数 / DSM / 有限差分法 |
Research Abstract |
本研究の目的は、3次元地震波速度異方性構造を詳細に推定することである。本研究では、実体波及び表面波をともに含む広帯域波形そのものをデータとして用いる波形インバージョンを行うことにより、高精度かつ高解像度の3次元異方性構造モデルを推定する。本年度は、中米下のD"層の一次元SH波構造推定および北西太平洋下の遷移層4地域の一次元SH波速度構造の推定を行い、これらの成果はそれぞれ、Kawai et al., 2007, GRL, acceptedと冨士、修論、2007において発表されている。 また、本年度はこれらの一次元SH波速度構造推定の結果を受けて、異方性構造を求めるための偏微分係数計算ソフトウェアを実装し、非弾性減衰構造を求めるための定式化・ソフトウェアの作成を行い、目下同時インバージョンを実行中である。 ・中米下のD"層の一次元SH波速度構造推定 GRLに受理されたD"層の構造推定の研究では、高圧実験で温度・圧力条件から示唆されてきた"double crossing"(D"層直上でのpv→ppv相転移とD"層の中におけるppv→pv相転移)という現象を支持する結果を得たことで、地球科学的な議論が進む可能性がある。この解析を各地域のD"層に拡張して行うことによって、D"層に対する新たな知見を得たい。 ・北西太平洋下の遷移層の一次元SH波速度構造推定 北西太平洋下の遷移層を四個の地域に分けて、それぞれの一次元SH波速度構造の推定を行った。これらのモデルはこれまでのトモグラフィーの結果と調和的であって、我々の手法の有効性が示された。その反面、波形解析において、本研究ではこれまで正確に評価してこなかった波形の振幅を情報として用いたことで、上部マントルの非弾性減衰の影響を無視することはデータを有効利用できないことが分かった。目下、非弾性減衰構造のための偏微分係数計算および同時インバージョンを実行している。
|