2007 Fiscal Year Annual Research Report
固液共存系の動的ぬれ特性とその力学物性への影響に関する研究
Project/Area Number |
17540393
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
武井 康子 The University of Tokyo, 地震研究所, 准教授 (30323653)
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Keywords | 部分溶融岩石 / 粘性 / 弾性 / 異方性 / レオロジー / メルト |
Research Abstract |
流体相を含む系では、せん断面に平行な方向に流体が集まることにより系の流動性や浸透率が非常に大きく変わる。このような変形と流体移動の相互作用の生じる可能性は、古くから注目されてきたが、そのメカニズムは分からなかった。本研究では、流体相を含む多結晶体の流動特性を理論的・実験的手法により研究し、ミクロスケールでのぬれ特性の変化により生じる「粘性の異方性」がこのような相互作用を引き起こすことを明らかにした。 本研究ではまず、液相を含む多結晶体の粒界拡散クリープ領域での粘性構成則を、ミクロな内部構造に基づいて予測する理論モデルを開発した。既に開発した弾性構成則の理論(Takei, 1998, JGR)と合わせると、弾性と粘性の両方を同一の内部構造モデルに基づいて予測することができ、両物性の定量的比較が可能になった。その結果、粘性は弾性よりも、内部構造(コンティギュイティ)に敏感であることが分かった。アナログ部分溶融岩石の変形実験から得られた差応力下における異方的なコンティギュイティ(Takei, 20005, JGR)を代入することにより、変形下における部分溶融岩石の粘性の異方性を定量的に予測した。得られた粘性テンソルには非対角成分が存在し、応力や歪のせん断成分と体積成分がカップルすることが分かった。 得られた粘性構成則を、固液二相系のダイナミクスを記述する支配方程式系とあわせて解き、粘性の異方性がメルトの移動に与える影響を調べた。その結果、せん断応力に勾配のある場ではせん断応力の高いほうへメルトが移動することや、一様なせん断変形下でメルトの集まった層がせん断面に低角に発達することなどが理論的に予告された。さらに、粘性の異方性の存在が、マントルウエッジにおけるメルトの流動パターンに影響することも示した。
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Research Products
(4 results)