2006 Fiscal Year Annual Research Report
プレート境界の摩擦パラメター推定に関する研究 -数値シミュレーションと観測データの融合による-
Project/Area Number |
17540394
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
加藤 尚之 東京大学, 地震研究所, 助教授 (60224523)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 真一 東京大学, 地震研究所, 助手 (00334285)
松澤 暢 東北大学, 大学院理学研究科, 助教授 (20190449)
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Keywords | 摩擦構成則 / シミュレーション / 地震サイクル / プレート境界地震 / 余効すべり / 繰り返し地震 |
Research Abstract |
小繰り返し地震のスケーリング則について:小繰り返し地震のデータからプレート境界面での非地震性すべり速度を推定するには,小繰り返し地震のすべり量を推定しなければならない.多くの小地震について,地震波形解析からすべり量を推定するのは容易ではないため,通常は,マグニチュードとすべり量の関係式を利用する.良く用いられている関係式は,Nadeau and Johnson(1998)による米国San Andreas断層での小繰り返し地震について得られたものであるが,この関係式は普通の地震について成立する,応力降下量一定の場合のマグニチュードとすべり量の関係と大きく異なり,物理的に理解しにくいものであった.本研究では,非地震性すべり域の中に円形の固着域(アスペリティ)を考え,そこでの応力集中を弾性論から計算し,アスペリティ破壊のための臨界応力拡大係数がアスペリティの大きさに依存しないと仮定することで,Nadeau and Johnson(1998)の関係式をほぼ説明することに成功した. GPSデータから推定した非地震性すべりの時間変化と小繰り返し地震から推定した非地震性すべりの違いについての考察:小繰り返し地震が発生するアスペリティでのサイスミックカップリングが100%であれば,観測の誤差がなければ,2つの方法による非地震性すべりの時間変化の推定は一致すべきである.しかし,アスペリティでのすべり様式は,摩擦の速度依存性・時間依存性のために,時間的に変化する.たとえば,地震の繰り返し間隔が短くなると,強度回復のための時間が不十分なため,アスペリティでの地震性すべり量が小さくなる可能性がある.すべり速度・状態依存摩擦則を用いた数値シミュレーションにより,このことを確認した.比較的大きな地震による応力の擾乱があったときなどに,両者による非地震性すべりの推定に大きな違いが出てくる可能性が示された.
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Research Products
(3 results)