2006 Fiscal Year Annual Research Report
オホーツク海南部における時計回り循環のメカニズムとその北太平洋へのインパクト
Project/Area Number |
17540406
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
三寺 史夫 北海道大学, 低温科学研究所, 教授 (20360943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大島 慶一郎 北海道大学, 低温科学研究所, 助教授 (30185251)
中村 知裕 北海道大学, 低温科学研究所, 講師 (60400008)
小野 数也 北海道大学, 低温科学研究所, 技術職員 (40396320)
西垣 肇 大分大学, 教育福祉科学部, 講師 (70253763)
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Keywords | オホーツク海 / 千島列島 / 潮汐混合 / 時計回り循環 / 中規模渦 / 多重平衡 / 宗谷暖流 |
Research Abstract |
オホーツク海南部の千島海盆は北太平洋中層水の源であり、物質循環においてもキーエリアである。この海域では時計回り循環や中規模渦が卓越しており、それに対応するように中層水にあたる密度では分厚い低渦位水(オホーツクモード水)が分布している。また、宗谷暖流、親潮、東樺太海流が流れこみ、非常に複雑な海域である。そのような千島海盆の時計回り循環が生ずるメカニズムを、単純化されたモデルと、高解像度シミュレーションを用いて研究した。結果は以下の通りである。 単純化されたモデルでは、千島列島のシル上で発生する潮汐混合が引き起こす千島海盆内の循環を調べた。その結果、現実的な混合の範囲内で、千島海盆内に強い循環が引き起こされることが分かった。このときには、傾圧モードのロスビー波がシルの近傍の流れによって捕捉されてしまい、鉛直混合によって形成された低渦位水がシルを離れることが出来ない。このため、混合によりさらに成層が弱くなる、という効果的なオホーツクモード水(低渦位水)の形成が起こることがわかった。 高解像度オホーツク海GCMを用いた数値実験では、宗谷暖流が知床半島から流出するときに生ずる暖水渦の水平・鉛直構造を現実的に再現することができた。暖水渦が大きくなり知床半島から切離されるのは宗谷暖流の流量が多い秋であり、渦の下流との流量差が重要であることを示した。 また、衛星高度計のデータと高解像度モデルの結果を用いて千島海盆の季節変動を調べた結果、熱膨張、オホーツク海スケールの風成循環、東樺太海流が千島海盆に流入する際に生ずる再循環の季節変動が複合的に生じている現象であることが分かった。
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Research Products
(5 results)