2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540413
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
冨田 智彦 熊本大学, 大学院自然科学研究科, 助教授 (20344301)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安成 哲三 名古屋大学, 地球水循環研究センター, 教授 (80115956)
斉藤 和之 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター水循環領域, 研究員 (70419133)
吉兼 隆生 独立行政法人海洋研究開発機構, 地球環境フロンティア研究センター水循環領域, 研究員 (40392964)
日下 博幸 筑波大学, 大学院生命環境科学研究科, 講師 (10371478)
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Keywords | 気候変動 / 環境変動 / 水循環 / 地球変動予測 / 梅雨 |
Research Abstract |
平成18年度は、まず梅雨前線活動には数十年規模の変動があり、日本付近では1990年頃を境に梅雨降水が有意に増加していたことを指摘(日本気象学会2006年度春季大会)。続く解析よりこの原因は遠く北太平洋の大規模海洋循環にまでさかのぼれることを示し、この海洋循環にある数十年規模変動の影響が一部黒潮域で表出、梅雨前線活動にこのような数十年規模の変動をもたらしたことを明らかにした(月刊海洋、2006)。このような大気海洋共変動にはその接続面すなわち海面での各種フラックスの挙動が鍵となるが、黒潮域では海面水温偏差(SSTA)と海面熱フラックスの間に他海域で広く確認されているような関係とは逆の関係、すなわち正の相関関係が初夏6月頃に現れることを明らかにした(GRL,2007)。これは初夏6月頃、黒潮域でSSTAが正の時、下向きではなく上向きの海面熱フラックスが卓越、下層大気を下から加熱することを意味する。この加熱により黒潮域=梅雨前線帯の下層大気は加熱され、対流活動を活発化、梅雨降水に上述のような増加をもたらしたと考えられる(月刊海洋、2006)。 さらにこのような加熱に対し下層大気は水平的にいかに応答していたかを調査したところ、黒潮/梅雨域をはさんで南北に大きく広がるダイポール構造すなわち「梅雨/黒潮ダイポール」を取り応答していたことを明らかにした(GRL,2007)。従来、梅雨前線活動の経年変動はフィリピン海のSSTAが励起する太平洋-日本パターン(PJパターン)と呼ばれるロスビー型大気応答がコントロールしているとの指摘がなされてきたが、数十年の時間スケールではむしろ直下黒潮域のSSTAの影響を強く受けた「梅雨/黒潮ダイポール」による。現在はこの「梅雨/黒潮ダイポール」の詳細な空間構造解析、発生メカニズムについてのプロセス解析を展開中である。
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Research Products
(4 results)