2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540424
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 朋子 東北工業大学, 工学部, 助教授 (40222161)
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Keywords | 太陽風 / 加速 / CME / SOHO / LASCO / のぞみ / IMF / プラズマ / 20太陽半径 |
Research Abstract |
太陽から放出された直後のCMEについて加速度と速度との間に線形の関係がある場合を用い、太陽からおおよそ20太陽半径以内の「背景の」太陽風速度を推定した。使用データはSOHO/LASCO CME Catalogue中のリムCMEの速度と加速度である。信頼性の高い値を用いるため、位置の計測が5点未満のCMEやhalo CMEは解析から除外し、東か西の縁上の特定の緯度ごとに、ある一定の期間中(14日または7日)に発生したCMEについて、CMEの初速度に対する加速度の回帰直線を求め、「背景の」太陽風速を求めた。回帰直線を求めるに当っては、初速度、加速度それぞれの誤差を考慮し、観測値と理論式の差を自乗してそれぞれの誤差の自乗和(速度の誤差は一次式の係数をかけた後に自乗)で割ったものの総和が最小となるように決めた。この総和が自由度N-2(NはCME個数)のカイ自乗分布の信頼水準99%の信頼区間に入れば「線形の関係あり」と判定した。得られた「背景の」太陽風速度の誤差は自由度2のカイ自乗分布の信頼限界とした。誤差が100%を超える場合もあるが、こうして得られた太陽から20太陽半径以内の「背景の」太陽風速度は、1998年から2003年までの解析期間中、低緯度(赤道面から20度以内)ではおよそ100-700km/sの範囲に分布していた。これは地球軌道付近の太陽風速度(通常250-700km/s)に比べて低速側へ広がっていることがわかる。低緯度(20度以内)、中緯度(25-65度)、高緯度(65度以上)の結果を比べると、高緯度ほど高速となる傾向が見られた。同時期の惑星間空間(1AU)の観測と一致する場合もあるが、低速側へずれることも多かった。これが太陽近くの太陽風速を正しく反映しているとするならば、20太陽半径以内で太陽風は1AUでの値の近くまで加速されており、一部は20太陽半径以遠でも追加の加速があることを示していると考えられる。
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Research Products
(1 results)