2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540424
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Research Institution | Tohoku Institute of Technology |
Principal Investigator |
中川 朋子 東北工業大学, 工学部, 助教授 (40222161)
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Keywords | 太陽風 / 加速 / プラズマ / MHD波 / タイプIIIパースト / IMF / 強度変動 / 密度ゆらぎ |
Research Abstract |
太陽風の加速に大きな役割を果たしていると考えられるMHD波の存在を、太陽半径の数倍程度の距離におけるタイプIIIバーストの強度変動によって示した。東北大学惑星プラズマ大気研究センター飯舘観測所において0.5秒ごとに周波数分解能35.7kHzで観測された帯域15-40MHzのタイプIIIバーストのスペクトルから背景ノイズを差し引き、2秒平均してスペクトルの揺らぎを消すことにより、データ中から18MHz、23MHz、31MHz付近に複数のピークを検出した。これらの周波数に対応するプラズマ密度は、近年のシミュレーションによって示された、MHD波のエネルギーが熱と運動に変化する高度のプラズマ密度と一致していた。これらのピークのプラズマ周波数は太陽からの距離およそ1.7Rs、1.3Rs、0.8Rs(Rsは太陽半径)に対応する。ピーク周波数は現象ごとに異なっていた。タイプIIIバーストは、太陽フレアなどに際して加速された電子ビームによって励起されるラングミュア波の周波数がその場のプラズマ周波数またはその2倍となったときに電磁波に変換され放射される現象であり、電磁波への変換には波の進行方向に対し密度が増加する必要があるが、これは圧縮性のMHD波によるプラズマ密度の空間変化によって可能となると期待される。今般観測されたピーク周波数は、太陽風の加速に必要な大振幅のMHD波が圧縮波になって壊れてゆく姿を捉えていると考えられる。
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