2006 Fiscal Year Annual Research Report
河川源流域から沿岸域に至る砕屑物の生産・運搬・堆積システムの解析
Project/Area Number |
17540429
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
牧野 泰彦 茨城大学, 教育学部, 教授 (00100983)
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Keywords | 安倍川 / 河床地形 / 河川堆積物 / 堆積作用 / 三保海岸 / 自然環境 / システム |
Research Abstract |
1,安倍川は源流域に大谷崩と呼ばれる崩壊地をもち、世界的にみても砕屑物の豊富な河川の代表とみなすことができる.安倍川は全流域にわたって網状流路によって特徴づけられている. 2、安倍川河口域における海岸地形について,明治28年発行の5万分の1地形図「静岡」から最新の地形図までを比較・検討した.18世紀初頭に発生した大谷崩以来、安倍川は大量の砕屑物で埋積されており、つい最近まで河口には三角州が存在し,ほぼ平衡状態にあったと考えられる.このように沖側に凸状の地形が形成されている理由は、安倍川からの供給量が多いためである.しかし,現在の河口は海岸線がほぼ直線的で海側に凸状を呈していない.昭和40年代からそのような状況を示している.これは、大型の建築物や新幹線や高速道路などの土木工事がわが国で活発に施行された時期に対応している.つまり、建設骨材として、安倍川の河床堆積物が大量に採取された結果、河口への供給量が大きく減少したためである. 3,河口域に到達した砕屑物は、沿岸流によって北西の三保海岸方向へ運搬されている.これは安倍川流域に産出する特徴的な礫(蛇紋岩)を追跡することによって判明している.現在の三保海岸は沿岸域に供給される砕屑物量が減少して,侵食海岸の状態である.三保海岸侵食は,砕屑物の不足した部分が順次その運搬過程経路の下流方向へ移動し,現在,三保の松原付近まで到達している.つまり,この問題は自然環境に人為的な手を大きく加えたことによって生じたもので,そのシステムを理解して対応していれば起らなかったはずである.自然環境の基盤をなす地形や地質は,数万年におよぶ長い年月にわたる現象である.自然現象を眺める時間スケールは,当然それに対応していなければならない.海岸侵食のような自然環境に関わる問題では,このように長期間におよぶ現象に対する自然観を持つことで回避すべきである.
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Research Products
(4 results)