2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540440
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
鈴木 明彦 北海道教育大学, 教育学部, 助教授 (20235930)
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Keywords | 硬質基質 / 古生態 / 古環境 / 生痕化石 / 生物浸食 |
Research Abstract |
平成17年度は、北海道の第三系の岩礁海岸や硬質底に認められる穿孔性二枚貝化石とその生痕化石の同定を行い、産状や特徴に注目して古生態学的検討を行なうことを主な目的とした。また、二枚貝化石や生痕化石の同定の比較試料として、北海道や沖縄の現生穿孔性二枚貝とその生痕の調査・採集を試みた。 化石試料については、北部北海道中川町及び羽幌町の海成中新統から多量の穿孔性二枚貝化石や生痕化石を採集し、化石のクリーニング、同定及び群集解析を行った。その結果、次のような特徴が明らかになった。北部北海道大和層から産出した穿孔性二枚貝化石は、形態学的特徴からPenitella kotakaeに同定され、本来の生息場所からは多少移動して埋積された準現地性の化石と推定した。また、大和層から産出した穿孔性二枚貝の生痕化石は、形態学的特徴からGastrochaenolites turbinatusに同定され、Penitella属を特徴づける生痕化石であると判明した。今回見いだされたGastrochaenolites生痕化石群集は、エントビア生痕相(Entobia ichnofacies)に属し、海進初期の特徴・非堆積間の程度・古水深の見積もりに有効な古環境情報を提供した。 一方、現生試料については、北海道の海岸を対象とし、西南北海道木古内海岸(中間温帯)、中央北海道望来海岸(冷温帯)及び北部北海道声問海岸(亜寒帯)で、野外調査と試料採集を行った。いずれの海岸からも穿孔性貝類とその生痕が採集され、これらは北方地域における現生の硬質基質生痕相の基礎的データとした。さらに、亜熱帯地域の沖縄県久米島の岩礁海岸(=サンゴ礁海岸)においても、野外調査と試料採集を行い、南方地域における現生の硬質基質生痕相の基礎的データとした。
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Research Products
(5 results)