2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17540445
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
三枝 春生 University of Hyogo, 自然・環境科学研究所, 助教 (70254456)
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Keywords | 長鼻類 / 中新世 / ゾウ科 / 分類学 / テトラフォドン類 / ゴンフォテリウム類 / 骨格 / タイ |
Research Abstract |
18年度は、初期ゾウ科の骨格との比較のため、タイ国産ゴンフォテリウム類の骨格化石と海外の博物館に収蔵されている長鼻類骨格化石の比較を行う予定であった。しかし、タイの中新世産長鼻類化石のクリーニング・修復・レプリカ作成およびこれら化石のタイ国への返却にかかる輸送費が予想以上にかかったため、海外の博物館に収蔵されている化石との比較は文献情報をもとに行わざるを得なかった。 タイ国産の2体の骨格標本のうちの一つはチェンマイ州Mae Soiより産出した中期中新世のゴンフォテリウム類の骨格化石であり、頭蓋、体幹、および四肢骨がそろった標本である。この骨格標本の修復および観察をした結果、椎骨の数が推定され、四肢、特に後肢のプロポーションが明かとなった。もう一つのゴンフォテリウム類の骨格化石は、Chiangmuan炭鉱の上部中新統より発掘されたものである。褐炭層に埋没していたため、骨格の大部分は著しく変形しているが、肩甲骨、舌骨、上顎第3臼歯は後期中新世のゴンフォテリウム類と比較可能であり、テトラロフォドン類に属することは明かである。またChiangmuan炭鉱の標本は臼歯からはヨーロッパ産テトラロフォドンであるTetralophodon longirostrisと区別できない。しかし、唯一のTetralophodon longirostrisの骨格であるオーストリア、Breitenfeld産の標本と比較すると、肩甲骨の形態等でChiangmuan炭鉱の標本はTetralophodon longirostrisと明瞭に区別され、別種であることが分かる。またChiangmuan炭鉱の標本にはテトラロフォドン類としては唯一舌骨が残されており、その形態は初期ゾウ科およびステゴドン科と良く類似している。この結果はテトラロフォドン類の少なくとも一部はゾウ科およびステゴドン科の姉妹群であることを示している。
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Research Products
(2 results)