2006 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア極東に分布する海成三畳系の年代層序と生物相の精密解析
Project/Area Number |
17540447
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
重田 康成 独立行政法人国立科学博物館, 地学研究部, 主任研究員 (30270408)
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Keywords | 三畳系 / ロシア極東 / 年代層序 / 生物多様性 / 絶滅と回復 / アンモナイト / 二枚貝 |
Research Abstract |
平成18年6月8日から6月29日まで、ロシア・プリモーリエ州南部地域で、三畳系の地質調査と岩石・化石試料の採集を行った。特に、三畳系が連続的に観察できるウスリー湾西岸において、1/500精度でのルートマップと1/100精度での柱状図を作成し、岩相層序の観察や堆積相解析を行った。 その結果、この地域の三畳系は、下位から中部にかけてハンモック状斜交層理を主体とする浅海堆積物、上部では砂岩泥岩互層やスランプ堆積物よりなり、アンモナイト、二枚貝、リンギュラ、小型巻貝を多産することが明らかになった。産出したアンモナイト化石から、下部がGriesbachian上部、中部がDienerian、上部がSmithian下部に対比されることがわかった。現在、コノドントを用いてより詳細な時代対比を試みている。 三畳紀前期は、古生代末の大絶滅からの回復期であり、二枚貝や巻貝の多様性は極めて低く、その体サイズも小さいものが多いと考えられている。ところが、本地域の三畳紀前期の地層からは、殻サイズが比較的大きな多様な二枚貝が産出した。これは、二枚貝の回復が本地域の浅海域において極めて早い時期に起こった可能性を示唆するものである。一方、巻貝の多様性は低く、殻サイズも小さいものが多い。 今回の調査により、大絶滅からの回復は分類群や地域により異なり、プリモーリエ州南部地域の浅海域では二枚貝の回復が極めて早かった可能性が指摘できる。アンモナイトやオウムガイ類の回復も本地域では早かった可能性があり、今後の研究で解明していきたい。
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