2007 Fiscal Year Annual Research Report
ロシア極東に分布する海成三畳系の年代層序と生物相の精密解析
Project/Area Number |
17540447
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Research Institution | National Museum of Nature and Science, Tokyo |
Principal Investigator |
重田 康成 National Museum of Nature and Science, Tokyo, 地学研究部, 研究主幹 (30270408)
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Keywords | 三畳系 / ロシア極東 / 年代層序 / 生物多様性 / 絶滅と回復 / アンモナイト / 二枚貝 |
Research Abstract |
平成19年6月17日から7月8日まで、ロシア・プリモーリエ州南部地域で過去2年間に調査したウスリー湾岸において、三畳系の追加地質調査を行った。1/500精度でのルートマップと1/100精度での柱状図を作成し、岩相層序の観察、堆積相解析、岩石・化石試料の採集を行った。 その結果、三畳系下部のInduan階から、少なくとも4属5種のオウムガイ類が産出することがわかった。これらは、巻きが外れて異常巻き状になったものや、連室細管が腹側に位置するものなど、他の地域ではほとんど見られない多様な形態のものを含む。すべて同一の科に属することから、古生代末の大量絶滅事件のあと、生き残った1属から三畳紀前期に急速に多様化したと考えられる。三畳紀前期のオウムガイ類の多様性は、プリモーリエ州南部地域が最も高く、この地域がオウムガイ類の回復にとって重要な地域であった可能性が指摘できる。 本地域からは多様なアンモナイト類が産出した。Induan階のものは、カナダや南中国と共通するいくつかの種類を含むが、Olenekian階下部から産出するものは、種数は多いが他の地域と共通するものをほとんど含んでいないことがわかった。南中国でも、多様なアンモナイトが産出するが、他地域との共通性は低いとされている。このことは、Olenekian前期に、アンモナイトが地域ごとに多様化した可能性を示唆している。 今回の調査により、大絶滅からの回復は分類群や地域により異なり、プリモーリエ州南部地域のInduan期ではオウムガイ類が多様化し、Okenekian前期ではアンモナイト類が地域ごとに多様化した可能性が指摘できる。
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Research Products
(2 results)