2007 Fiscal Year Annual Research Report
日本とその周辺の付加体中の古生代スーパープルーム起源超苦鉄質火山岩類
Project/Area Number |
17540453
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
石渡 明 Kanazawa University, 自然科学研究科・環境科学専攻, 教授 (90184572)
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Keywords | ピクライト / メイメチャイト / 緑色岩 / スピニフェックス / スーパープルーム / 美濃・丹波帯 / 付加体中の海台断片 / 巨大火成岩区(LIP) |
Research Abstract |
平成19年度は,美濃・丹波帯の付加体緑色岩,マリアナ前弧域の岩石,ロシア極東地域のオフィオライト岩体について研究し,それらについての論文を公表した。Ichiyama, et. al.(2007)では丹波帯小浜地域の緑色岩体から発見した長さ20cmに達するかんらん石スピニフェックス組織をもつ玄武岩について記載し,それが原生代前期のコラ半島ペチェンガ地域の鉄ピクライト岩床上部の玄武岩によく類似し,ペルム紀海台の鉄やHFS元素に富む超苦鉄質火山活動によるとする考えを述べた。Ichiyama, et. al.(2008)では美濃・丹波帯の玄武岩を化学組成によって低Ti型,中間型,高Ti型に区分し,低Ti型がプルームヘッド(頭部)の多量の部分溶融により海台本体を形成し,中間型はプルーム周縁部の溶融によって海台の上部や周縁部を形成し,高Ti型はその後のプルームテイル(尾部)の少量の溶融により海台周辺の堆積物中に貫入したとする,プルームマグマ活動の時空変遷を明らかにした。柳田ほか(2007)では白鳳丸KH03-3航海によってマリアナ海溝斜面から得られた超苦鉄質岩を記載し,それらの多くが変成岩的な鉱物組合せ、組織を示すこと,海嶺の超苦鉄質岩に比べて輝石温度計などの平衡温度が低いこと,これまで海洋底から得られたマントルかんらん岩の中で最もAlに富むスピネルを含むものがあることを明らかにした。この論文で報告したMgカミングトン閃石は海洋底の超苦鉄質岩からは初めてである。マリアナ海溝南部はマリアナ島弧系を斜めに横断しており,ドレッジ地点附近では火山弧と背弧海盆との境界が海溝に切られている。マリアナトラフやパレスベラリフトなどの背弧拡大軸には同様にAlに富むマントルかんらん岩が露出するので,マリアナ海溝全体としては前弧背弧のマントル断面が露出すると考えた。ロシア北東部のざくろ石変斑れい岩を多量に含む特異なオフィオライト岩体についても岩石学的、年代学的研究を行った。
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Research Products
(8 results)