2006 Fiscal Year Annual Research Report
熱水性K-NH4系雲母鉱物の層間イオン分布構造モデルに関する検証と応用
Project/Area Number |
17540456
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Research Institution | Kochi University |
Principal Investigator |
東 正治 高知大学, 理学部, 教授 (90036583)
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Keywords | 粘土鉱物 / 混合層構造 / 地球化学 / イライイト / トベライト |
Research Abstract |
NH_4を含むK-NH_4系の2八面体型雲母鉱物では,連続固溶体モデルの層間イオン分布構造ではなくて各層間がKまたはNH_4のみで占められることによるI-T(illite-tobelite)混合層構造モデルが新たに考えられるようになり,その実在は天然試料や合成試料でも確認された。層間イオン種によって10.00Å(K-雲母:illite)や10.36Å(NH_4-雲母:tobelite)と底面間隔が異なるので,これらI-T混合層鉱物のX線回析では両成分層からの干渉により一部の底面反射がブロード化する特徴に注目すれば,I-T混合層鉱物の混合層様式(ランダム,規則型,分離型)の識別までも可能になり,実用的には干渉幅の最も大きい2Å反射(5次反射)を比較的干渉幅の小さい5Å反射(2次反射)で基準化したときの半値全幅比(FWHH)の測定するのが便利である。 今年度は金属鉱床変質帯に産するI-T混合層鉱物の解析を行い,さらに,比較的低温で生成するK-NH_4系雲母鉱物によく見られるスメクタイト層(smectite層;15Å)も含む3成分系I-T-S混合層鉱物の解析も試みた。 1.南米(ボリヴィア)の錫鉱脈型鉱床変質帯から採取された5試料についての化学分析と精密なX線回析実験によると,層間NH_4比がは0.18-0.35の変動域を示し,X線回析005反射と002反射の半値全幅比の精密測定による混合層構造の検討結果では,多くが不規則性の高い混合層構造を示す。この結果は通常の熱水性K-NH4系雲母鉱物試料が規則性の強い混合層構造を示すのとは異なり,熱水性よりも少し高温環境に相当する気成鉱床の特徴が反映されていると考えられる。 2.3成分I-T-S混合層鉱物の検討には,実験解析法の改善工夫が必要となる。試料は1NのKCl溶液またはNH_4Cl溶液と混じて150℃に6時間加熱して充分な層間イオン交換を行った後,相対湿度0%に制御した雰囲気中でのX線回析実験を行うと,スメクタイト成分層(S)を完全に雲母成分層(IまたはT)に変化させることができ,I-T2成分混合層として解析できることが確かめられた。
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Research Products
(2 results)