2006 Fiscal Year Annual Research Report
電子移動反応における多電子波動関数の時間発展理論-集団座標の分離とダイナミクス-
Project/Area Number |
17550003
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Research Institution | MURORAN INSTITUTE OF TECHNOLOGY |
Principal Investigator |
太田 勝久 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (50152129)
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Keywords | 時間依存変分法 / 拘束条件 / 整合性条件 / 感度解析 / 測地線偏差 |
Research Abstract |
本申請課題研究では、電子移動反応における多電子波動関数の時間発展における集団座標分離を行うため、変分試行関数として設定された多電子波動関数に対して拘束条件付き時間依存変分法理論を新たに開発し、そのTDVPパラメータでの擬古典力学運動方程式を導出した。さらに、外部断熱パラメータ変動に対する波動関数の安定性や応答を解析するため、電子波動関数の時間発展に対する感度方程式を導出した。この感度方程式は1階の微分方程式とはなるが変係数非同次形となり、いわゆるヤコビ方程式の外部断熱パラメータ変動に対する拡張形になっている。また、この方程式は"擬"トラジェクトリーとしての波動関数時間発展の測地線偏差あるいは変分方程式とも考えられ、TDVPトラジェクトリーの不安定性や分岐を誘導する外的因子の解析に応用できる。例えば、分子系におけるBorn-Oppenheimer近似下では、断熱パラメータとしての核座標変動に対する時間依存電子波動関数の応答が、TDVPパラメータの擬古典力学的トラジェクトリーの測地線偏差として解析される。この感度解析は、任意のTDVPトラジェクトリーや周期解系に適用できるが、まず、定常状態をTDVPトラジェクトリーの特殊な1例と考え、その近傍での感度解析を行い、その解析解を得ることができた。また波動関数の規格化条件が第1類拘束条件となっていることにより、あらわな規格化表示をゲージ固定条件として採用することができた。その結果、通常の定常状態変分法におけるエネルギー極値条件式そのものを、擬古典力学運動方程式として定式化できた。また、一般の1次元ポテンシャル系ダイナミクスでの重心分離への適用も行い、特に調和振動子系において、ばね定数に対する感度関数の解析式を導出した。
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Research Products
(1 results)