2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550004
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
山北 佳宏 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (30272008)
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Keywords | 化学物理 / 高性能レーザー / 原子・分子物理 / 量子ビーム / トンネル現象 / 超低温分子 / シュタルク効果 / リュードベリ状態 |
Research Abstract |
1.分子の並進制御 (1)時間依存電場を利用したシュタルク減速器を用いると、低速ビームを静止させ13mK程度の低温とすることができることを数値計算によって確立した。この成果は国際的に注目され、インドで開催されたThe 7th Asian International Seminar on Atomic and Molecular Physicsでの最初の招待講演に採択された。理論的な理解は、実験の際に現象を把握する上で不可欠な知見となる。上記国際学会の結果は抄録論文として投稿され、現在査読が行われている。 (2)画像観測実験(イオンイメージング)を行うための装置開発をおこなった。ただし、使用していた検出器が研究の途中で故障したため、その修理に多くの経費を要した。 2.ナノ炭素構造の振動分散関係 (1)減速冷却した分子の生成ならびに並進制御は、分子線と表面の散乱現象に画期的な結果をもたらすと考えられる。これは、申請者らを含め欧米で近年開発が進められている超低速分子線を用いた実験に関連している。表面実験への展開を念頭に、高配向性熱分解グラファイト(HOPG)の表面のモデルとなるポリアセンの振動分散関係を構築した。この結果は、多環芳香族炭素分子の精緻な分子分光学的知見を基盤としている点に大きな特徴がある。すなわち、材料分析としての観点のみならず物理化学の原理からの知見を得た点に意義がある。1本の縮合構造を有するポリアセンの結果を分子構造総合討論会2006で講演し、J.Chem.Phys誌ならびに化学と工業誌に出版した。 (2)多数の縮合環列数を有する炭素ナノリボンに関しての結果を日本化学会で講演した。問もなく一流誌への投稿に至る予定である。 3.分子の電場による配向制御 ハロゲンを導入したベンゼン誘導体ならびに架橋構造を持つシクロファン分子に関してラマン強度の計算を行い、σ一π軌道相互作用が分曲率の増大に本質的な役割を果たしていることを立証した。
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Research Products
(2 results)