2005 Fiscal Year Annual Research Report
量子もつれを利用した分子ダイナミクスの新規観測法の開発
Project/Area Number |
17550005
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
大槻 幸義 東北大学, 大学院・理学研究科, 講師 (40203848)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺西 慶哲 東北大学, 大学院・理学研究科, 産学官連携研究員 (40360440)
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Keywords | 量子もつれ / 量子制御 / 量子干渉 / 位相緩和 / 分子分光 |
Research Abstract |
分子内量子もつれの制御および生成した量子もつれに対する新規の高感度分光法の理論提案を行った.以上2つの主要結果については,専門雑誌に掲載および掲載が決まっている. 分子内量子もつれの生成制御においては,多くの自由度の間の相互作用を制御し,目的の状態を生成できるかが問題になる.本研究では,円錐交差を含む2次元・2電子状態を取り上げ,強い非断熱相互作用の存在下においても,多数回の電子状態遷移を通した波束整形の利用により,分子固有の相互作用をアクティブに制御し,もつれの度合いを調整できることを示した.即ち,円錐交差点付近の強い非断熱遷移領域を波束が通過する際,波束の局在の度合いを制御することで,振動モード間の実効的な結合強度をコントロールできることを明らかにした. 一方,新規の分光法提案においては,量子もつれが本質的に重要になる量子演算に着目し研究を行った.量子ビット(計算基底)はヨウ素分子の電子励起B状態における振動状態へのマッピングにより導入する.具体的には,量子もつれを生成する基本演算であるCNOTおよび量子もつれを利用する演算として量子フーリエ変換を取り上げ,これら演算子を対角表示する状態を量子ビットとする.即ち,量子ビット(計算基底)は振動固有状態の重ねあわせで表される.非定常状態の計算基底を導入したために,量子もつれが本質的であるこれらの演算を,分子ハミルトニアンに従った自由時間発展だけで超高精度(典型例で99%以上)実現できることを明らかにした.更に,現在の時間分解量子干渉分光法を若干改良し,位相ロックとパルス波形整形装置とを組み合わせれば,非常に高感度に演算結果を測定できることを数値シミュレーションで明らかにした.
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Research Products
(2 results)