2005 Fiscal Year Annual Research Report
生体内電子移動中間状態モデル負イオンのレーザー分光研究
Project/Area Number |
17550006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前山 俊彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (20250673)
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Keywords | クラスター / 負イオン / 光電子分光 / レーザー分光 / 水素結合 / 電子移動 / 生態関連分子 |
Research Abstract |
タンパク質における長距離電子移動反応中間状態のモデルとしてホルムアミドクラスター負イオン(FA_n^-)を対象に,光電子分光および光電子脱離効率の測定を行い,電子局在化に関わる相互作用について検証した.用いた負イオン生成法では小サイズの負イオンは検出されなかったが,n=7での急激なイオン強度の増大が観測された.n【greater than or equal】7の光電子スペクトルには,1.0eV付近にピークを持つバンドと2.0eV付近から立ち上がるバンドの2つが観測された.更に電子脱離効率スペクトルの測定によって、低エネルギー側の光電子バンドを溶媒和電子状態、高エネルギー側のバンドをラジカルアニオン状態と帰属できた.溶媒和電子状態のバンドがn=7において急激に相対強度を増すため,電子付着の直後は長距離力により電子が広い空間的分布を持った溶媒和電子状態を形成し,その後の非断熱遷移によりラジカルアニオンへの局在化が起こると結論した.特異的にラジカルアニオンの強度が増大するn=9を除いて,2つのバンドの強度比はクラスターサイズにはほとんど依存しないので、分子の再配向を伴うラジカルアニオンへの非断熱遷移には高い活性化障壁を生じることがわかった.また,n=9の異常性は偶発的な異性体間における安定構造の類似によると推察された.以上の結果はPhys.Chem.Chem.Phys.誌8巻7号(2006)に掲載されたが、査読者2名による評価が良好であったため、編集者から表紙イラストの提供を依頼され、同号の表紙を飾っている。
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Research Products
(1 results)