2006 Fiscal Year Annual Research Report
生体内電子移動中間状態モデル負イオンのレーザー分光研究
Project/Area Number |
17550006
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
前山 俊彦 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (20250673)
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Keywords | 負イオン / 赤外分光 / 光電子分光 / 電子脱離 / 電子移動 / 水素結合 / 溶媒和 |
Research Abstract |
ベンゾニトリル負イオンの溶媒和クラスター(水およびメタノール)の3ミクロン帯における光電子脱離効率を測定すると、ほぼ平滑な直接脱離の信号に加えて溶媒分子の振動バンド構造が観測された。これらはいったん離散的な振動状態に励起された後に電子連続帯に遷移する過程、すなわち振動自動電子脱離によって生じていると考えられる。溶媒分子の水素結合OH伸縮振動バンドは中性クラスターと比べると大きく低波数シフトしており、強い水素結合の存在を示すが、そのバンド位置は理論計算(B3LYP/6-31+G(d, p))による最適化構造として得られた直鎖構造のものとよく一致した。また、このバンドの形状が幅広くかつ非対称なFano shapeであるため、電子連続状態と水素結合OHの運動の間に特異な非断熱相互作用が働いていることが示唆された。これを解釈するために、溶媒分子を振動基準座標方向に変位した際の垂直電子脱離エネルギーの変化を計算した。その結果、溶媒分子の運動により誘起された負イオンと溶媒分子間の非断熱的電子移動が電子脱離過程を促進させていることが明らかになった。更に、一連の芳香族カルボニル化合物(アセトフェノン、ベンゾフェノン、フルオレノン)の溶媒和負イオンの電子励起状態を光電子脱離分光と理論計算(DFTもしくはTDDFT)により探索し、過去に測定された凝集相の吸収スペクトルに対する解釈における問題点(溶媒の配位数および配位構造)を明らかにした。
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Research Products
(1 results)