2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルカリ土類原子-Heファン・デル・ワールス分子の形成とレーザー分光
Project/Area Number |
17550008
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
森脇 喜紀 富山大学, 理学部, 助教授 (90270470)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 房和 富山大学, 理学部, 教授 (40142236)
小林 かおり 富山大学, 理学部, 助手 (80397166)
|
Keywords | ヘリウム / 超流動ヘリウム / レーザー分光 / エキサイプレックス / アルカリ土類原子 / 原子分光 |
Research Abstract |
低温(1-30K)で広い圧力領域(10^3-5×10^7 Pa)のHe(気体・液体)中に中性原子(Mg,Ca),イオン(Ba^+)を生成し,そのスペクトルを測定することにより,不純物原子・イオンとその周りのHeとの相互作用を調べた. 1.低温He(気体・液体)中のアルカリ土類原子の分光 液体He中の不純物原子はパウリの排他律に基づく斥力により周りのHe原子を遠ざけることにより真空の空洞を形成することが知られているが,Mgではそのスペクトルの幅やピークのシフトがバブルの形成だけでは説明出来ていなかった.加圧液体He中のMg,Caについて,^1S_0-^1P_1遷移の吸収発光スペクトルのHe圧力依存性を調べ,Mgの発光スペクトルは,圧力と伴にピークが長波長側へシフトし,他のアルカリ土類原子(Ca,Ba)とは逆の圧力依存性であることが分かった.このスペクトルを説明するために,変形バブルモデルを導入しバブルの構造を考察した.その結果,Mgにおいては^1P_1状態のp電子の節部分でバブルが大きく括れた状態で最も安定となり,この形状で圧力依存性が説明できる.このことは,以前に導入されたエキサイプレックス形成仮説とは整合性がある.さらに,低温Heガス中でのMg原子の発光スペクトルを調べた.He温度の低下あるいはガス圧と伴に,線幅が拡大し長波長側に明確なピーク構造が出現する.Mg^*-He_n型エキサイプレックスの解離スペクトルのモデル計算により,これらの特徴は,He原子の個数(n)の変化として説明され,エキサイプレックスの形成が検証された. 2.Ba^<+*>-Heエキサイプレックスの形成・解離ダイナミックス 低温ヘリウムガス中でレーザーアブレーション・レーザー共鳴により用意したBa^<+*>(6p^2Π_<3/2>)とHeとの衝突によりBa^<+*>-Heを生成し,振動バンドを伴う発光スペクトルを得た.この解析により,Ba^<+*>-Heの形成・解離断面積の温度依存性を求めた.特に,Ba^<+*>-Heの形成断面積には15K付近にピークがあり,これは2段階リンデマン型過程により説明できると考えられる.
|
Research Products
(1 results)