2006 Fiscal Year Annual Research Report
基底関数欠損誤差を排除した電子相関近似理論によるクラスター内反応の研究
Project/Area Number |
17550012
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
岩田 末廣 広島大学, 大学院理学研究科, 特任教授 (20087505)
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Keywords | 非直交分子軌道 / ハートリー・フォック条件 / 局所射影分子軌道 / 摂動展開 / 基底関数欠損誤差 / 電子相関 / 余剰電子 / エレクトライド |
Research Abstract |
(1)直交条件を課さないHigh-spin restricted Hartree-Fock方程式の変分条件の一般形を導出した。これに制限を加え、開殻系局所射影の変分条件を導き、局所射影分子軌道(Restricted Open-Shell Locally-Projected Molecular Orbital)を求めるプログラムも作成した。 (2)閉殻系局所射影分子軌道(Locally-Projected Molecular Orbital)に基づく1電子励起(Single Excitation)摂動展開のプログラムを高速化し、様々なレベルの基底関数を用いて多くの閉殻系分子クラスターに適用した。フッ化水素(HF)クラスターのように強い水素結合系においても、Hartree-Fock法にcounterpoise補正を加えた場合と、事実上等しいクラスター生成エネルギーを与えること実証した。計算時間は、通常の超分子法よりもさらに高速となり、(H_2O)_nでは、ほぼn^<2〜1.5>でスケールする。 (3)「複数の双極子モーメントが作る場に捕捉される電子(an electron bound by multi-dipole moment)」という機構で「余剰電子」が安定化する機構を提案してきた。C_<3v>形を持つM(HF)_3,M=Li,Na,K,は、その典型的な例であることを理論計算によって示した。金属から放出された電子は3個の等価なHFの作る静電場に捕獲され、「余剰電子{e^-}」となり、M^+(HF)_3{e^-}となる。{e^-}はハロゲン負イオンに似た振る舞いをし、Li^+(HF)_3Cl^-の構造は、Li(HF)_3とほとんど同じ形をしている。M^+(HF)_3{e^-}はさらに{e^-}(HF)_3M^+(HF)_3{e^-}のように成長させることができる。この負イオンは、エレクトライドを構成する単位の候補になる。
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Research Products
(4 results)