2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550019
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
菅原 道彦 慶應義塾大学, 理工学部, 講師 (40276415)
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Keywords | 量子制御 / レーザー / 量子観測 / デコヒーレンス |
Research Abstract |
デコヒーレンス(位相破壊)を能動的に起こさせる手段として量子観測操作に注目し、強レーザー場と観測操作を利用した新たな量子制御の描像を提案した。特に本年度は、頻繁に観測操作が施される場合に注目している系の運動を記述する実効リウビリアンを導き出すことに成功した。その際、前年度と同様に観測操作の物理過程には立ち入らずノイマン型の射影操作によって量子観測が表現されるとする立場を採用した。また、系を観測対象となる部分系とその補空間に分割し、部分系に対する観測操作を取り扱えるように理論を拡張している。さらに、頻繁に施される観測操作間の系の時間発展を記述する演算子に対して2次の摂動論を適用することにより、観測操作によって誘起されるインコヒーレントな準位分布の移動を記述する演算子が得ることに成功した。この演算子と観測対象外準位のコヒーレントな運動を記述する演算子を組み合わせて実効リウビリアンを定義している。実効リゥヴィリアンの表現行列の固有値0に対応する固有ベクトルが初期条件にどの程度含まれているかを解析することにより、運動方程式を直接解くことなく十分時間が経った時点における定常状態の準位分布を求めることが出来る。上記の理論を初期、中間、終状態からなるA型3準位系に対して適用した。中間状態を頻繁に観測した場合についての定常状態分布のレーザー強度比依存性を明らかにしたところ照射する二つのレーザー場の強度比を変化させることによって終状態の準位分布制御が可能であることがわかった。上述の解析を通してレーザー場強度及び観測対象準位の選択と定常状態として得られる終状態準位分布の相関が明らかとなり、観測操作と強レーザー場を組み合わせた新たな制御描像を提示することが出来た。
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Research Products
(1 results)