2005 Fiscal Year Annual Research Report
多様な官能基を有するdpcb配位子の合成とその金属錯体の性質の研究
Project/Area Number |
17550027
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
豊田 耕三 東北大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (50217569)
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Keywords | 高周期元素化学 / ヘテロ原子化学 / 低配位リン化合物 / 配位子 / 遷移金属錯体 / 錯体触媒 / 集積型金属錯体 / 高分子 |
Research Abstract |
平成17年度は、主にDPCB配位子の合成と官能基の導入について検討した。即ち、本研究者が既に合成している、かさ高い置換基を持つ1,2-ジ(2-チエニル)-3,4-ジホスフィニデンシクロブテン(DPCB-T)および1,2-ジ(3-チエニル)-3,4-ジホスフィニデンシクロブテン(DPCB-T')の利用について検討した。低温でのチエニル基のリチオ化を経由する方法により、比較的反応性の高いリン・炭素二重結合を壊さずに、種々の官能基を導入することができると考えたわけであるが、予想通り、リン・炭素二重結合を保ったまま、各種のカルボニル官能基やハロゲン原子を導入することができた。また、その官能基を足掛かりとして、さらに別の官能基に変換、あるいは別の官能基を導入することができ、多種多様なDPCB配位子群を合成可能であることを実証することができた。また、新しい配位子として、1,2-ジエチニル-,1,2-ジピリジル-,あるいは1,2-ジメタロセニル-DPCB等を合成し、その性質について知見を得た。以上は、DPCBの1,2-位での官能基化の例であるが、立体保護基部分も官能基化部位として考えることができる。そこで、p-位あるいはo-位に官能基を導入した芳香族性立体保護基を開発し、リンのπ結合を持つ基本的な化合物であるホスファアルケン類・ボスファアルキン類・ジホスフェン類を合成し、官能基の効果について検討し、その結果を踏まえてp-位に電子供与性官能基を導入した立体保護基を有するDPCB-T誘導体を合成した。さらにそのチエニル基も官能基化した。またo-位にアリール基を有する立体保護基を用いてもDPCB誘導体を合成した。以上の成果により、DPCB誘導体の種類は飛躍的に増加したといえる。以上で合成したDPCB配位子の一部は既に錯体化したが、その他の錯体の合成と性質の研究は平成18年度に行う。
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Research Products
(9 results)