2006 Fiscal Year Annual Research Report
(S)-ホモプロリンを有機触媒として用いる不斉合成反応の開発
Project/Area Number |
17550028
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
折山 剛 茨城大学, 理学部, 教授 (90185687)
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Keywords | プロリン系有機溶媒 / 不斉1,4-付加反応 / ヒドロキシプロリン / 疎水性 / 水中 / 無溶媒 |
Research Abstract |
環境に配慮した化学、すなわちグリーンケミストリーの考えに基づいた化学反応が盛んに研究されている。中でも、有害な金属をまったく用いずに反応を行う、有機触媒反応が大いに注目されている。この有機触媒に着目し、環境調和型反応の開発を目指して新規な有機触媒を設計、合成し、これを用いる不斉合成反応についての研究を行った。一方、近年では環境への配慮からハロゲン系の有機溶媒の使用が抑制されるようになっている。このため、代替溶媒として安価で人体への毒性もなく、かつ環境に対する負荷の小さい水を用いる反応が注目されている。そこで、水中でのケトンのエノンへの不斉1,4-付加反応について検討した。この反応では(S)-プロリンから4段階で簡便に高収率で合成できる疎水性のキラル1,2-ジアミン触媒を用いた。様々な環状ケトンとカルコン誘導体との間で反応が進行し、高いジアステレオ選択性とエナンチオ選択性で対応する1,4-付加生成物が得られた。次にさらに疎水性の高い有機触媒の開発を目指し、新規な有機触媒を設計、合成した。出発物質として安価に入手できるtrans-(S)-4-ヒドロキシプロリンを用い、6段階で67%という高収率で簡便に触媒を合成することに成功した。いずれのステップにおいても反応がきれいに進行し、途中の段階での精製もほとんど必要とせず、大スケールでの触媒合成も可能である。この有機触媒を用いて、種々のα,β-不飽和アルデヒドとチオールの反応を無溶媒条件で試みたところ、最高99%ee以上のほぼ光学的に純粋なスルフィドが得られることを見出した。この反応は補助物質である溶媒をまったく使用しないグリーンな条件で反応が進行し、反応にかかるコスト、環境への負荷を低減することができる。
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Research Products
(1 results)