2006 Fiscal Year Annual Research Report
gem-ジフルオロアルケンの連続カチオン環化を基軸とするヘリセン類の系統的合成法
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17550031
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
市川 淳士 東京大学, 大学院理学系研究科, 助教授 (70184611)
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Keywords | 縮合多環式芳香族化合物 / フルオロアルケン / ジフルオロアリル化 / 塩化ジエチルアルミニウム / S_N2´型反応 / ヘリセン / 分子内環化 / トリフルオロメチルアルケン |
Research Abstract |
フッ素は強い電子求引性を持ちながら、その非共有電子対の働きによりα位のカルボカチオンを安定化することができる。本研究ではこうした興味深い性質を利用し、1,1-ジフルオロ-1-アルケンのフッ素置換反応を用いることで、縮合多環式芳香族化合物の新規合成法確立を目指しており、その鍵反応の検討を行った。 2-トリフルオロメチル-1-アルケンに求核剤として有機リチウム試薬を作用させると、S_N2´型反応が進行し、1,1-ジフルオロアルケンを与えることが知られている。ただし、本反応は一般に有機リチウム試薬以外の弱い求核剤では進行しない。そこで、フッ素と親和性の高いアルミニウム化合物を用いることによりフッ化物イオンの脱離を促進し、弱い求核種にて同様のS_N2´型反応を試みた。その結果、塩化ジエチルアルミニウムを存在させることで、アレーンのような弱い求核種でも2-トリフルオロメチル-1-アルケンのS_N2´型反応が進行することを見いだした。 すなわち、分子内のホモアリル位にアリール基を有する2-トリフルオロメチル-1-アルケンを塩化ジエチルアルミニウムで処理すると、アリール基が末端アルケン炭素を攻撃し、フッ化物イオンの脱離を伴ってS_N2´型反応が進行し、exo-ジフルオロメチレン基を有する環化生成物が収率良く得られた。ここでは、塩化ジエチルアルミニウムがフッ化物イオンの脱離を促進し、同時に生成するHFを捕捉すると考えている。 また、この反応は分子間反応にも応用できる。過剰量のアレーン存在下でα-トリフルオロメチルスチレンに塩化ジエチルアルミニウムを作用させたところ、アレーンとα-トリフルオロメチルスチレンとのS_N2´型反応が進行し、種々の置換基を有する3,3-ジフルオロアリルアレーンが得られた。
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Research Products
(1 results)