2005 Fiscal Year Annual Research Report
エテントリカルボン酸エステル誘導体のルイス酸による特異な合成反応の開発
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17550036
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Research Institution | Nara University of Education |
Principal Investigator |
山崎 祥子 奈良教育大学, 教育学部, 教授 (50182481)
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Keywords | エテントリカルボン酸誘導体 / プロパルギルアミン / メチレンピロリジン合成 / 共役付加-環化 / プロパルギルアルコール / メチレンテトラヒドロフラン |
Research Abstract |
1.窒素を含む5員環であるピロリジン誘導体は、生物活性を示す多くの天然物に含まれており、有機化学における重要な基本骨格である。ハロゲン化亜鉛、ハロゲン化インジウムによって促進される、求電子性の高いC=C成分であるエテントリカルボン酸誘導体とプロパルギルアミンとの室温での量論的および80℃での触媒的なワンポット高効率での共役付加-環化反応を見出した。エテントリカルボン酸誘導体と1等量のプロパルギルアミンを1.2等量のハロゲン化亜鉛又はハロゲン化インジウムと室温CH_2Cl_2中終夜反応させたところ、メチレンピロリジン誘導体を高収率で得た。0.2等量のInBr_3-Et_3Nの存在下、CH_2ClCH_2Cl中80℃で4時間加熱の条件で行なうと、良好な収率で環化生成物が得られた。さらに、高効率での共役付加-環化反応によるメチレンテトラヒドロフラン合成反応を見出した。エテントリカルボン酸誘導体と1等量のプロパルギルアルコールを、1.2等量のZnBr_2又はInBr_3と室温CH_2Cl_2中終夜反応させたところ、メチレンテトラヒドロフラン誘導体が64-89%の収率で得られた。0.2等量のInBr_3の存在下、CH_2ClCH_2Cl中80℃で4時間加熱の条件で行なっても、良好な収率で環化生成物が得られた。 2.Friedel-Crafts反応は、C-C結合形成のひとつとして重要な反応である。最近、アルキリデンマロン酸エステルの触媒的エナンチオ選択的Friedel-Crafts/Michael付加反応が報告されているが、置換基はPh基などに限られている。多様な置換基をもつエテントリカルボン酸誘導体とインドールの触媒的エナンチオ選択的Friedel-Crafts/Michael付加反応を行った。キラルビスオキサゾリン銅触媒(10mol%)を用いて付加体が高収率、95%eeまでの範囲の光学収率で得られた。アミド誘導体の絶対配置をX線構造解析でRと決定した。トリエステルからアミド誘導体への変換で、トリエステル生成物の絶対配置もRと決定した。観測されたエナンチオ選択性及び高いee%は、キラル配位子銅エテントリカルボン酸エステル錯体のUB3LYP/LANL2MB計算最適化構造から、インドールの軌道相互作用による立体選択的な接近が原因であると考察した。
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