2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550041
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
佐藤 潔 首都大学東京, 都市環境学部・材料化学コース, 助手 (40285101)
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Keywords | アゾニアコロネン / 縮合多環芳香族化合物 / アゾニア化合物 / ヘテロコロネン / ヘテロヘリセン / 分子内Diels-Alder反応 / 光閉環反応 |
Research Abstract |
フラーレンをはじめとする縮合多環芳香族化合物の炭素骨格の一部をヘテロ原子で置換したヘテロπ共役系分子は、母体炭化水素にはない特性を示すことから、光電子デバイス・有機磁性体・有機電導体などへの応用が期待され、その合成と物性評価は、基礎有機化学研究の大きな目標の一つとなっている。本研究では、次世代表示材料として近年研究開発が活発化している有機EL発光素子やディスコチック液晶分子のコアに利用されているコロネン分子に注目し、その橋頭位炭素を四級窒素原子で置き換えた「新規なカチオン型ヘテロコロネン(アゾニアコロネン)の合成と基本的な物性の評価」を目的としている。 本年度(平成17年度)は、以下の成果を得た。 1、合成経路の一般性の検討 末端チオフェン環の位置の異なる2つのヘリセン前駆体を、対応するアゾニア化合物とアリールアルデヒドとの縮合反応により合成した。続いてこのオレフィン体の光閉環反応によって[6]ヘリセンを得た。さらにこのヘリセンから外側橋頭位に四級窒素を導入したアゾニアコロネンの合成を検討した結果、2つの反応経路でともにアゾニアコロネンの生成が確認された。構造は、各種スペクトルおよび元素分析などにより確認した。 2、基本物性(分光特性・会合体形成)の評価 1で得られたアゾニアコロネンについて、吸収スペクトルおよび発光スペクトルの測定を行い、分光特性について評価するとともに、分子軌道計算による計算値との比較を行った。また、分光特性およびNMRスペクトルの濃度依存性に関する観測実験を行い、溶液中におけるアゾニアコロネンの会合挙動について解析を行った。 3、ジアゾニアコロネン合成の試み 分子骨格に導入する四級窒素原子の数を増やし、外側橋頭位に2つの四級窒素原子を有するジアゾニアヘリセンの合成を試みた結果、まだ反応条件の改善が必要であるが、上記と同様の[6]ヘリセンを経由する反応によって、生成を確認した。
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Research Products
(1 results)