2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550052
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
伊藤 翼 東北大学, 名誉教授 (90007328)
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Keywords | 混合原子価 / ルテニウムクラスター / 酸化還元 / 電荷移動異性 / 多核金属錯体 / 多段階電子移動 / 混合原子価異性 / 直鎖状オリゴマー |
Research Abstract |
以下の研究の論文へのとりまとめを行なった. 1.ルテニウム三核クラスターをユニットとする直鎖状ポリマーの合成と電気化学. 本研究は,できるだけ多数の1電子酸化還元波を異った電位で示す分子の構築をめざしたものである.目的達成のため配位子の電子吸引性・供与性を考慮して分子設計を行ない,ルテニウム三核クラスターをユニットとするピラジン架橋の直鎖状3量体,4量体を合成し,これらのオリゴマーがそれぞれ11段階12電子,15段階16電子の可逆な酸化還元波を示すことを明らかにした.この成果を日本化学会欧文誌Bull.Chem.Soc.Jpn.,78,591(2005)に公表した. 2.混合原子価異性の発現. 筆者らは2004年に,非常に珍しい電荷移動異性現象を電解赤外分光法を用いて見いだしドイツ化学会誌に報告した.本研究は,同じ実験手法を類似の他の物質系に適用し,これまでほとんど知られていなかった「電荷移動異性現象」,「混合原子価異性現象」の発現を更に確認したものである.具体的には,2-メチルピラジンを架橋配位子とするルテニウム三核クラスター2量体の1電子還元体がエネルギー的に微小な非対称性をもつ混合原子価系であることを明らかにし,この非対称ポテンシャル面の二つの極小値に対応する化学種の存在を赤外スペクトルにより確認した.これらの成果を米国化学会誌J.Am.Chem.Soc.,127,2382(2005)に公表した.
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Research Products
(2 results)