2005 Fiscal Year Annual Research Report
錯体化学的手法による複合金属酸化物表面の貴金属単原子被覆
Project/Area Number |
17550053
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
坂本 政臣 山形大学, 理学部, 教授 (20036445)
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Keywords | 配位高分子 / 結晶表面 / 金属担持 / 複合金属酸化物 |
Research Abstract |
配位高分子錯体の結晶表面には配位の余地が残されている官能基が露出していることに注目し、そこに金属イオンを結合すれば、原子レベルで均一に単原子被覆でき、これを熱処理することによって金属を均一に担持した複合金属酸化物が簡単に得られると考えられる。本年度は、LaFeO_3やLaCoO_3などのペロブスカイト型酸化物を低温調製するための前駆体として非常に優れていることを報告してきた配位高分子錯体La[M(CN)_6]-5H_2O(M=Fe or Co)の結晶表面に存在するシアノ窒素に、PdおよびNiを配位させることによって均一担持することを試みた。担持処理は、配位高分子錯体結晶を水に浸漬し、Pd(NO_3)_2またはNi(NO_3)_2の水溶液を加え、1分間撹拌した後吸引ろ過し、水で洗浄することによって行った。加えたPd^<2+>(またはNi^<2+>)とLa[M(CN)_6]-5H_2Oとのモル比を3:100、6:100、9:100となるように調整した。無色のLa[Co(CN)_6]-5H_2OにPd^<2+>あるいはNi^<2+>の担持処理をしたものは、色調が淡黄色あるいは淡緑青色になり、担持金属量の増加と共に色が濃くなった。つぎに、Pd^<2+>またはNi^<2+>の担持処理を行ったLa[Co(CN)_6]-5H_2O結晶に、N,N'-di(octadecyl)ethylenediamineを加えてしばらく攪拌した後、ろ過し、メタノールで洗浄した。その結果、結晶はほとんど無色または淡紫色になった。これらの色調変化は、表面金属がN,N'-di(octadecyl)ethylenediamineと錯体形成したためである。N,N'-di(octadecyl)ethylenediamineは、立体的にかさ高いオクタデシル基を有しているために結晶内部にまで入り込むことができない。また、担持処理した結晶にN,N'-di(octadecyl)ethylenediamineを反応させ、FT-IRスペクトルを測定した結果、2900〜3000cm^<-1>にアルキル基のCH伸縮振動に基づく吸収が観測された。これに対して、担持処理をしない場合には、N,N'-di(octadecyl)ethylenediamineを加えても、アルキル基由来のIR吸収帯は見られなかった。以上の結果から、PdあるいはNiが、結晶表面に露出しているシアノ窒素との配位結合によって担持されていると考えられる。このことをさらに確かめるために、La[Co(CN)_6]-5H_2O結晶を担持処理した後、XPS測定を行った。その結果、PdあるいはNi由来のピークが明らかに観測できた。これらのピークは、アルゴンスパッタにより消失した。このことからも、金属イオンが結晶のごく表面に担持されていることが支持された。これらの成果を、2006年5月30日〜31日に開催の第23回希土類討論会で発表予定(申込済み)である。
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