2006 Fiscal Year Annual Research Report
外場環境の変化に応答した可逆な発光波長可変性を示す金属錯体の開発と発光波長の制御
Project/Area Number |
17550056
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
中島 清彦 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (50198082)
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Keywords | 外場環境 / 白金錯体 / 分子構造 / ヒドラゾン / 光反応 / プロトン脱着 / 発光 |
Research Abstract |
2-メチルチオベンズアルデヒド,2-(4-クロロフェニルチオ)ベンズアルデヒド,2-ジフェニルボスフィノベンズアルデヒドと2-ヒドラジノピリジンを反応させて得た三座のヒドラゾン配位子(HL^n, n=1-3)を,PtCl_2(PhCN)_2と反応させて,白金(II)錯体([PfX(HL^n)]^+および[PtX(L^n)],X=Cl^-,Br^-,I^-)を合成した。得られた錯体のうち,良好な単結晶が得られた錯体については,その分子構造と結晶内におけるパッキング構造を,X線結晶構造解析により決定した。これらの白金(II)錯体には,いずれもLMCTに由来すると思われる発光が観測された。トリフルオロメタンスルホン酸あるいはトリエチルアミンを加えてヒドラゾン配位子上のプロトンを可逆的に脱着することが可能であり,これにともなって吸収波長,発光波長が可逆的に極めて大きくシフトすることが見出された。配位子単独では,大きな発光波長の変化は観測されない。さらに,プロトンの非付加体である白金(II)錯体をエタノールに溶解させて放置したところ,暗所ではその吸収スペクトルは変化しなかったのに対し,室内光下ではスペクトルが等吸収点を示して変化し,対応するプロトン付加体の白金(II)錯体が生成することがわかった。即ち,光によりプロトンの脱着を制御できる可能性が示された。以上の結果は,照射する光の波長を変化させるという外場環境の変化にともなって可逆的に発光波長が変化する白金(II)錯体,という新しい系を構築できる可能性を示している。
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