2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550061
|
Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
水田 勉 広島大学, 大学院理学研究科, 助教授 (70221603)
|
Keywords | リン架橋[2]フェロセノファン / ビスホスフィン / 異性化 / 3員環 / 立体反転 / Cr(CO)5 / W(CO)5 |
Research Abstract |
フェロセンの上下のCp環を2個の同種元素で架橋した[2]フェロセノファンは、2つのCp環の間隔に比べて架橋部分が短いため、分子内歪を有する。架橋がSiとなったものは、この立体歪のためSi-Si結合が切断されポリマー化を起こすことが知られている。一方、架橋部がP-Pとなったものは、P上に種々の金属を導入できることや、Si-Si結合に比べてP-P結合はより短いなど、いくつか興味深い特徴が予想されるが、未だ合成例が無い。本研究では、リン架橋[2]フェロセノファンの合成と2つのリン上への金属フラグメントの導入反応について検討した。 ジリチオフェロセンを出発化合物として、各Cp環にPCl(R_2)基(R=Net_2,N(C_6H_<13>)_2,N(C_<12>H_<25>)_2,Ph,t-Bu,n-Bu,N(SiMe_3)_2)を導入し、次いで金属マグネシウムで還元的にP-P結合を形成させ目的のRP-PR架橋[2]フェロセノファンを合成した。X線解析により構造を確認すると、2つのRはP-P結合に対してtransの配座をとっていた。この配位子に対してM(CO)_5(M=Cr,W)フラグメントを結合させるとRの嵩高さに応じて、1つあるいは、2つのフラグメントを導入できた。 2つのリンの一方にのみM(CO)_5(M=Cr,W)を導入した錯体に光を照射してM上からCOを脱離させると非配位のリン中心が立体反転を起こしてcisとなってMに結合しP-PとMからなる3員環が形成された。この3員環は、環歪のためCOを共存させると容易に開環し、元の錯体を再生した。興味深いことに、この際にリン中心は立体反転を起こしcisからtransへ再び異性化した。このような室温における立体反転は、殆ど例が無い。
|
Research Products
(3 results)