2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550069
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Research Institution | Kitami Institute of Technology |
Principal Investigator |
南 尚嗣 北見工業大学, 機器分析センター, 助教授 (40241426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 信夫 北見工業大学, 工学部・機能材料工学科, 教授 (20108187)
八久保 晶弘 北見工業大学, 未利用エネルギー研究センター, 助教授 (50312450)
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Keywords | メタンハイドレート / 海底堆積物 / 湖底堆積物 / 化学解析 / 国際共同研究 / オホーツク海 / バイカル湖 |
Research Abstract |
海底堆積物中メタンハイドレートの生成機構を化学的に解析することを目的に、(1)試料の採取、(2)試料前処理方法の検討、(3)測定(溶存化学種、ガス成分、δ^<18>O等安定同位体比、固体NMRなど)および考察をおこなった。すなわち、(1)本研究の研究分担者および海外共同研究者のグループと共に、2005年5-6月にロシア国サハリン沖オホーツク海において、ロシア科学アカデミー極東支部V.I.Il'ichev Pacific Oceanological Institute所属の調査船および重力コアラーを用いて、海底メタンハイドレート含有堆積物の採取に成功した。更に海底メタンハイドレートと比較をおこなう目的で、2005年9-10月にロシア国バイカル湖において、ロシア科学アカデミーシベリア支部Limnological Institute所属の調査船および重力コアラーを用いて、湖底メタンハイドレート含有堆積物の採取に成功した。(2)堆積物コアは船上で直ちに半割し、含有メタンハイドレートは液体窒素中に保存した。含水率測定用試料とガス分析用試料の採取をおこなった後、堆積物間隙水の採取をおこなった。前処理方法の検討結果、間隙水の採取には遠心分離よりも加圧圧搾分離(研究代表者が所属する研究グループが開発)が時間効率が良く試料水採取割合が高いことが明らかになったので、加圧圧搾により間隙水を採取し冷蔵保存した。これら試料は全て北見工業大学へ輸送することに成功した。(3)間隙水中化学種のうちSO_4^<2->、Cl^-、Na、K、Ca、Mg、Ba、Mnを選定し測定をおこなった。それぞれ正確さ・精度の高い測定をおこなうために、イオンクロマトグラフィー、フレーム原子吸光分析法、誘導結合プラズマ原子発光分析法、ファーネス原子吸光分析法を用い、測定条件および検量線作成方法を詳細に検討した。また、メタンハイドレートを構成する水分子の起源を明らかにするために、ハイドレート水、海水、湖水、間隙水のδ^<18>OおよびδDを安定同位体測定用質量分析装置を用いて測定した。一方、ガスハイドレート構造を明らかにするために固体NMRによる測定をおこなった。(4)海底深部からのメタンガスの上昇とそれに伴う浅い海底面下深度(メタンハイドレート存在深度よりも浅い)の堆積物間隙水中においてSO_4^<2->、Ca、Mn濃度の急激な減少および炭酸カルシウム生成、Ba濃度の急激な増加を見いだした。すなわちこれらの化学種を指標にすることにより、深部にあるメタンハイドレート存在の検出が可能であることを見いだした。その他の化学種はメタンハイドレート存在深度において急激に濃度が低下し、メタンハイドレート存在量の見積もりが可能であることを確認した。一方、今年度の調査で得られた海底メタンハイドレートを構成する水分子の起源は、海底深部からの湧昇水よりも海底面から浸透した海水由来の可能性が高いことが安定同位体比測定結果より示唆された。
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Research Products
(7 results)