2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550077
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
香川 喜一郎 福井大学, 教育地域科学部, 教授 (90115296)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丸山 忠司 東京工業大学, 統合研究院, 教授 (10016868)
|
Keywords | レーザープラズマ / 発光分析 / 水素分析 / 重水素分析 / 原子炉材料分析 / ヘリウム準安定状態 |
Research Abstract |
原子炉の燃料被覆管であるジルカロイの水素脆化問題に関連して、レーザープラズマ分析法で水素分析を行うための最適条件等を詳細に研究した。方法はヘリウムガス雰囲気減圧下とヘリウム1気圧でおこなった。水素分析の場合に問題となる試料表面の水の妨害に関しても対策を検討した。以下、減圧下と1気圧に分けて述べる。 1.He雰囲気減圧下水素分析 雰囲気ガスの種類を変えてジルカロイ中の水素の発光効率を調べた結果、ヘリウムガスを用いることで水素の発光効率は著しく増大することがわかった。したがって本研究の減圧下の実験は全てヘリウム10Torrのもとで行った。プラズマ発光の時間変化を調べたところ、水素は発光時間が他の元素に比べて長く、水素の励起にHe準安定状態が関与していることがわかった。試料表面の発光を抑えるには、真空ポンプの油を、水を含まない新しいものと交換すること、真空チャンバーを200度近くに保ち十分加熱すること、試料表面の広い範囲にパルスのTEA CO2レーザーを照射し、表面のクリーニングを行うこと、レーザーの予備照射を行い、クレーターがある程度深くなった後にレーザー分析をおこなう事などが有効である。また、ディフォーカスの状態(f=200mのレンズで-45mm)でレーザーを照射することによっても表面の水の発光を抑えることができる。このようなディフォーカス状態でYAGレーザー(140mJ)を照射すると、高感度(検出感度約50pm)・高精度でジルカロイ中の水素分析ができることもわかった。 2.He雰囲気1気圧 水蒸気やエタノールを僅かに含むHe1気圧ガス中にYAGレーザーを集光し、H, C, He原子の発光の時間変化・空間分布を測定することによって、He準安定状態を通しての励起が主要な過程であることを証明した。実際のジルカロイ中の水素を1気圧で分析する場合は、レーザー光が試料表面の手前で集光されるよう(+10mmディフォーカス)にすると試料からアブレーションした水素はHeガスプラズマ中で生じたHe準安定状態によって効率よく励起されることがわかった。この方法でジルカロイ中の水素に関するよい検量線が得られた。He準安定状態を通しての原子の励起は、レーザープラズマ分光分析の新しい方法であり、水素のみならず殆ど全ての元素の分析が可能である。この方法での高感度分析を実現するには、多量のHe準安定状態を作ることが必要である。この目的のためには高出力(数百mJ)のTEA CO2レーザーをHe1気圧中で金属表面に集光して、強いHeガスプラズマを作ることが効果的である。金属試料のアブレーションには、TEA CO2レーザーと同期させたYAGレーザーを用いる。この方法でジルカロイ中の水素分析が可能であることを確認した。
|
Research Products
(5 results)