2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550082
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
渡辺 巖 大阪府立大学, 理学系研究科, 教授 (50028239)
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Keywords | XAFS / 気液界面 / 全反射X線吸収分光 / 単分子膜 / 金属錯体の配向 |
Research Abstract |
水溶液表面に吸着する界面活性イオンやその対イオンの溶媒和構造解析を目的として全反射X線吸収分光法を開発した。水面でX線を全反射させるには入射角度を極めて小さくする必要があり、そのために本分光法を用いた実験は高輝度平行光であるシンクロトロン放射光を使用しなければならない。そこで、高エネルギー加速器研究機構(つくば)、放射光実験施設フォトン・ファクトリー、および高輝度光科学研究センター、スプリング8(播磨)にて実験を行った。 昨年度に続き、本年度に実施した実験は、つぎの二つに分けることができる。 (1)界面活性陽イオンに吸着して気液界面に集積する臭化物イオンの表面濃度の決定とその溶媒和構造の解析:アルキルアンモニウム塩の種類を臭化ドデシルトリメチルアンモニウムのみではなく、これの塩化物との混合物にも拡張して実験を行った。本実験は、元素別に表面濃度を決定できるものであり、表面吸着イオンの選択性について初めて実測することができた。その結果、表面吸着アルキルアンモニウムの対イオンである陰イオンとしては、臭化物イオンが優先的に吸着している様子を定量的に観察することができた。前年度に、表面吸着臭化物イオンには2種類の溶媒和構造の異なったものがあることを報告した。これらの2種類のものの存在比率は、吸着イオンの表面濃度に依存していたが、陰イオンとして塩化物イオンが存在するときには、臭化物イオンと塩化物イオンの和(吸着イオンの総濃度)にその存在比率が依存することが分かった。つまり、水面に吸着するイオン種とは無関係に、水面での吸着イオンの密集度に依存して水面吸着臭化物イオンの水和構造が決まっていることが分かった。 (2)水面に展開する不溶性錯体の構造解析と界面吸着状態、特に平面錯体の選択的配向の決定:これも前年度に続き、水面吸着金属錯体、特に界面活性かっ金属への配位子となる有機分子を微量の金属イオンを含む水溶液表面に展開したものについて偏光XAFS測定を行った。銅(II)イオンを含む水溶液にイミダゾール化合物を展開したものについて、銅イオンが平面錯体を水面で生成し、しかもその平面が理想的に水面と平行になっている様子が明確に観測された。
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Research Products
(5 results)