2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヒト皮膚から発生する揮発性有機化合物の受動的測定法の開発
Project/Area Number |
17550084
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
関根 嘉香 東海大学, 理学部, 助教授 (50328100)
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Keywords | 皮膚ガス / 非侵襲分析 / パッシブ・サンプラー / アセトアルデヒド / アセトン / 放散フラックス / アルコール代謝 / 脂質代謝 |
Research Abstract |
ヒト皮膚から発散するガス(皮膚ガス)を用いて、ヒトの健康状態を非侵襲的に診断できる可能性が示唆されている。また皮膚ガスが居室臭気の原因となることも指摘されており、ヒトの健康状態および快適な室内空気質の維持・管理の観点から、皮膚ガスの測定は重要になると考えられる。そこで本研究では、微量な皮膚ガスを定量的かつ簡便に測定するため、パッシブ・フラックス・サンプラーを開発し、ヒト皮膚からのアセトアルデヒドおよびアセトンの放散フラックスを測定した。皮膚ガスの放散経路および最適抽象部位を検討するため、ボランティア6名を対象に全身8箇所で同時測定を行なった。その結果、両物質とも汗腺の分布が多い足裏、手の平、前腕部で高い検出率(83〜100%)を示し、アセトアルデヒドは汗腺分布が少ない上腕部では低い検出率を示した。また血管が内部に分布する胸元、上腕部ではアセトンの検出率が低かった。よってアセトアルデヒドは主として汗腺由来、アセトンとは汗腺および血管に由来するものと考えられた。アセトアルデヒドはアルコールの代謝物として知られている。そこでアセトアルデヒド放散量に及ぼす飲酒の影響を調べるために、飲酒(チュウハイ233ml)した被験者3名(パッチテストによる判定で酒に強い人、弱い人、全く弱い人)の前腕部における放散量を測定した。その結果、酒に強い被験者ではアセトアルデヒドの放散が認められず、酒に弱い被験者は飲酒直後より放散量が増加し、少なくとも8時間は放散が持続した後減衰した。一方、アセトンは血中グルコース濃度が低下したときに脂質代謝によって生成するケトン体の一つである。そこで絶食後のアセトン放散量を測定したところ、時間とともに放散量は増加し、特に被験者が空腹感を強く感じたときに増大する傾向が見られた。本研究により、皮膚ガスの多検体・同時測定が可能となり、健康状態の診断に利用できる可能性を示した。
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Research Products
(2 results)