2005 Fiscal Year Annual Research Report
キラルな高分子固定化金属アミドの開発と高選択的不斉触媒反応への活用
Project/Area Number |
17550096
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
淺見 真年 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 教授 (20134439)
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Keywords | 不斉触媒反応 / 高分子固定化試薬 / 光学活性第二級アルコール / 金属アミド / キラルジアミン / (S)-プロリン |
Research Abstract |
不斉触媒反応は、光学活性化合物を得るための省資源、省エネルギーかつ環境汚染防止にも配慮した優れた方法である。一方、反応剤を高分子に固定化すると、(1)反応剤の安定性が増す、(2)反応後に簡単な操作で生成物との分離ができる、(3)回収・再使用が容易になる、などの利点があり、不斉反応剤を高分子に固定化し利用する研究も報告されるようになったが、実用的な方法はまだ少ない。本研究では、研究代表者の研究室で開発された(S)-プロリンあるいは(S)-インドリン-2-カルボン酸から誘導されるキラルなジアミンを高分子に固定化し、対応する亜鉛、ホウ素、あるいはリチウムアミドに変換したのち不斉触媒反応に適用し、簡便に有用な光学活性化合物を高い光学純度で得る手法を開発することを目的としている。 平成17年度は(S)-1-ベンジル-2-(アニリノメチル)ピロリジンおよび側鎖芳香環に置換基をもつ類縁体を不斉触媒として用いジエチル亜鉛のベンズアルデヒドへの不斉付加反応を行った。その結果、(S)-1-ベンジル-2-(アニリノメチル)ピロリジンあるいは(S)-1-ベンジル-2-(p-クロロアニリノメチル)ピロリジンを用いたときに90%ee以上の選択性で(R)-1-フェニルプロパノールが得られることが分かった。そこで、1-位の置換基をp-ビニルベンジル基とし、スチレン、ジビニルベンゼンとの共重合を行うことにより高分子試薬を調製し、同様の反応を行った。その結果、いずれの場合も単量体を用いた場合よりもわずかに選択性が向上するという興味ある結果が得られた。また、高分子試薬を回収し洗浄後同様の反応に用いたところ、3回繰り返し用いても同様の収率および選択性で目的物が得られるが分かった。
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