2005 Fiscal Year Annual Research Report
合成有機フッ素化学におけるC-F結合の活性化:金属種の精査と新反応への展開
Project/Area Number |
17550104
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
宇根山 健治 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (00033150)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片桐 利真 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (70202009)
高木 淳 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助手 (20379712)
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Keywords | 脱フッ素化 / 金属マグネシウム / ジフルオロ化合物 |
Research Abstract |
1)金属種の脱フッ素化能力の精査 ジフルオロ化合物の実践的合成法の開発をするために、金属マグネシウムによるC-F結合の活性化を行った。すなわち、典型金属、遷移金属、ランタニド金属、合計26種を用い、トリフルオロアセトフェノンをモデル化合物として、脱フッ素化能力を精査した。その結果、Mg, Al, Mnが優れた脱フッ素化能を示し、また、Ni-Al、Zn-Cu合金も優れていた。また、金属とフッ素の結合エネルギーと脱フッ素化能力の間には明瞭な相関関係は見られなかった。さらに、金属の還元力の尺度となるイオン化電位と脱フッ素化の結果にもはっきりした相関関係は無かった。結果として、室温下で定量的に脱フッ素化ができるのはマグネシウムのみであった。還元力の強さ、低価格、取り扱いの容易さ、廃棄の可能性などの点で、金属マグネシウムが最適であるとの結論を得た。 2)新反応への展開 ヨウ化トリフルオロアセトイミドイルと金属マグネシウムより相当するグリニヤール種を調製し、塩化トリメチルシリルとの反応によりトリフルオロアセトイミドイルシランを合成する新反応を開発した。このトリフルオロアセトイミドイルシランはトリフルオロアセトイミドイルアニオン等価体となる優れた合成ブロックである。さらに、トリフルオロピルビン酸メチルと金属マグネシウムをDMF-TMSC1系で反応させることにより脱フッ素化を伴わない、新規なケテンシリルアセタールを合成する反応を開発した。このケテンシリルアセタールはトリフルオロピルビン酸メチルの極性変換体であり、カルボニル基への求電子剤による炭素-炭素結合形成を可能にする優れた合成ブロックである。
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Research Products
(3 results)