2006 Fiscal Year Annual Research Report
光起電性LB膜の面内電荷移行過程による電荷分離高効率化メカニズムの解明
Project/Area Number |
17550126
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
迫村 勝 横浜国立大学, 工学研究院, 助手 (20235237)
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Keywords | Langmuir-Blodgett膜 / 光電変換 / 面内電荷移行 / 人工光合成 / 三つ組分子 / 電荷プール / 電子移動 / 分子素子 |
Research Abstract |
本年度は、Langmuir-Blodgett(LB)膜作製に用いる試料の物質合成、レーザー分光計測、光電位応答計測に必要な光学系の整備及び、電気化学計測の実験と準備を行った。 LB膜作成用の膜物質としては、これまでのピレン活性剤とは側鎖の配置の異なる位置異性体となる化合物の合成も行った。 コンポジットLB膜内の複雑な三次元電子移動ダイナミクスの解明に着手するにあたり、昨年度から引き続いて、基本となるSのみを分子内に含む化合物のLB膜中での会合体の励起状態について、詳しく調べた。さらに、A-S-D型三つ組み分子のLB膜中でのナノ秒過渡吸収を調べたところ、溶液中で観測された電荷再結合過程のタイムスケールを大幅に上回る長寿命の電荷分離状態が継続していることがわかった。これは、走査型表面電位顕微鏡、紫外-可視吸収スペクトル計測に続いて、膜の横方向の電荷分離によるラジカル蓄積の観測に成功した結果として重要である。 LBトラフ上で電気化学計測を行うためのバンド型微少電極について、作成、および、予備的な実験も行った。実際に微少電極を用いて測定を行ったところ、溶液中の不純物や電気的なノイズの影響を受けやすかったため、化合物の精製、及び、計測に用いるフロムヘルツ型LBトラフと窒素置換グローブボックスの設置方法及び、雰囲気制御をもっと厳密に行う必要があることがわかった。バルク電極を用いた場合の計測は問題が無いため、酸化還元電位のデータは、得ることができた。また、累積膜のAFMによる表面観察でも、良好な結果が得られている。 以上に述べたように、本年度は、物質合成や各実験における方法および条件の最適化などの準備を進めながら、LB膜内での分子会合の形成や、分子内電荷分離状態に関する幾つかの知見、及び、基礎的な酸化還元電位データを得ることが出来た。
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Research Products
(4 results)