2007 Fiscal Year Annual Research Report
光起電性LB膜の面内電荷移行過程による電荷分離高効率化メカニズムの解明
Project/Area Number |
17550126
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
迫村 勝 Yokohama National University, 大学院・工学研究院, 講師 (20235237)
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Keywords | ラングミュアーブロジェット膜 / 光電変換 / 面内電荷移行 / 人工光合成 / 三つ組分子 / 電荷プール / 電子移動 / 分子素子 |
Research Abstract |
本年度は、膜中での面内電荷拡散過程について調べた。ステアリン酸単分子膜の親水部に吸着したビオロゲン(V)ポリマーの二次元ネットワーク中での電荷拡散を測定するために、幅約500Åの微小金バンド電極を用いた。予備実験として、Vポリマー溶液にて測定を行ったところ、可逆な酸化還元波が観測された。酸化ピークは0.37V、還元ピークは0.62V(vs.Ag/AgCl)となった。 次に5mMVポリマー溶液下層水による膜について測定を行った。下層水上にステアリン酸単分子膜を形成し、微少電極を膜面上に付着させてわずかに持ち上げ、膜と電極表面との一次元的な接触線を形成し、CV測定を行ったところ、V溶液の場合とほぼ同様の結果が得られた。ただし、この場合は、膜中での酸化、還元以外にも、下層水中に溶解したVポリマーによる影響も考えられる。この影響を排除するためには、V下層水上で形成した膜を純粋下層水上にトランスファーさせれば良い。独立可動の二本のバリアと、8つのコンパートメントを備えたFromhertz型円形LBトラフを用いて、これを行った。トランスファーさせた膜をガラス基板上に累積し、AFM測定を行ったところ、膜の欠陥も少なく、通常のLB膜とほぼ同程度のクオリティーで成膜できることが分かった。このようにして作製した純粋下層水上の単分子膜に対して、測定を行ったが、やはり、これまでと同様の酸化・還元ピークを示すCV波形が観測された。 以上の実験結果から、ポリイオンコンプレックス膜中のVポリマーは、ある程度の厚みで活性剤の親水部に吸着し、三次元的な電荷拡散ネットワークを有していることが、示唆された。アクセプター部位の電荷拡散の三次元ネットワーク化は人工光合成系の高機能化にも有益であると考えられるので、引き続き、Vポリマーの鎖長を変えるなどして、三次元ネットワーク化の挙動を探る研究を行っていく予定である。
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Research Products
(2 results)