2006 Fiscal Year Annual Research Report
精密カロリメトリーと高分解能NMRを駆使した多点相互作用性キラル認識基盤探究
Project/Area Number |
17550127
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
山村 初雄 名古屋工業大学, 工学研究科, 助教授 (80220440)
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Keywords | 精密カロリメトリー / キラル認識 / シクロデキストリン |
Research Abstract |
キラルアミノ酸の精密認識を標的とし、種々の分子間相互作用、すなわち疎水性相互作用、双極子/双極子および双極子/イオン相互作用、芳香族間π-π相互作用、水素結合等、が分子認識において、それぞれどのように働き、かつどのように協調しているかを理解するために、その解明のために余分な部分をそぎ落として機能をシンプル化した分子をモデルとして取り扱った。ここでは水中での分子認識を天然物である糖とアミノ酸を構成要素とするモデルで検討した。これは、ほぼ水から成る生体での現象を再現するため、また最近指摘されている分子間相互作用におけるエントロピー因子の役割を詳細に検討するため、さらには環境調和型材料構築の基盤にするためである。これらを通して、生体分子系の引き起こす現象の個々のプロセスについて本質的な素情報を得て、分子認識現象を理解するための普遍的知識を確立し、新規な超分子ナノ材料創造に通じる情報を集積することを目指した。疎水性相互作用、双極子/静電相互作用、および芳香族間π-π相互作用が同時に機能するモデル錯体におけるゲスト分子として合成した疎水性基としてのベンゼン環、陰イオン性基であるカルボキシル基、およびインドール環を有するトリプトファン誘導体の部分構造と特異的に相互作用するホストとして合成したトリプトファンによって化学修飾されたシクロデキストリン誘導体、次にゲスト分子としてベンゼン環、直鎖アルキル基、およびカルボキシル基を有するものに対するホストとしてαおよびβシクロデキストリンがアスパラギン酸で連結された誘導体を用いて、自由エネルギー変化とエントロピー項およびエンタルピー項の寄与を定量評価した。さらに類縁化合物を用いて系統的に調査することで分子認識現象を考察した。
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