2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550128
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Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
伊藤 彰浩 京都大学, 工学研究科, 助教授 (90293901)
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Keywords | 分子エレクトロニクス / 芳香族アミン / ニトロキシドラジカル / 混合原子価状態 / 高スピン状態 |
Research Abstract |
将来の分子スピントロニクスデバイスに資する興味深いコア分子の創製を目指して、ニトロキシド基を置換基として有する芳香族アミン類の合成研究を実施した。特に、計画書記載のメタターフェニル主骨格にニトロキシド基を一つ置換したジアミンと、参照化合物として、ニトロキシド基が置換していないジアミンの合成を行った。これら合成化合物の電気化学的酸化を行いながら、同時に吸収スペクトルの変化を観察した結果、ニトロキシド基を持たない参照分子においては、2つのトリアリールアミン間をカチオンラジカルスピンが移動することに起因する混合原子価吸収帯が観測されるのに対し、ニトロキシド基を持つ目的分子においては、その混合原子価吸収帯が高エネルギー側にシフトしていると考えられるスペクトルが観測された。このことにより、ニトロキシド基の局在スピンが分子内のラジカルカチオンのスピン移動に大きな影響を与えていることを明確に示す結果が得られた。量子化学計算の解析から、この原因は、ニトロキシド基とトリアリールアミン部位の酸化電位がほぼ等しいことから、トリアリールアミン部位とニトロキシド基の間に新たなスピン移動チャンネルが開けたためであることを示すことができた。一方、トリアリールアミン骨格の結合様式を代えることによってニトロキシド基が分子内スピン移動に与える影響を抑えることができることが明らかとなった。さらにトリアリールアミン由来のカチオンラジカルとニトロキシド基由来の局在ラジカルの磁気的相互作用は保持されることもわかった。
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Research Products
(2 results)