2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規キラル有機ラジカル液晶の合成と磁気物性に関する研究
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17550129
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Research Institution | Minerva Light Lab. |
Principal Investigator |
山内 淳 有限会社ミネルバライトラボ, マイクロ波応用計測部, 主任研究員 (10027071)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田村 類 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 教授 (60207256)
高橋 弘樹 京都大学, 大学院人間・環境学研究科, 助手 (00321779)
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Keywords | キラル有機分子 / 常磁性液晶 / 強誘電性液晶 / 二トロキシド ラジカル / ラジカル液晶 / 磁気物性 / 磁化率 / ESR |
Research Abstract |
今年度もキラルな二トロキシルラジカルをコアに含むキラル有機ラジカルの新規合成に成功した。特にコアに化学結合する直鎖分子の特徴を明らかにすることを中心に研究をすすめた。合成された分子はいずれも常磁性液晶性を示すので、まず液晶物性を光学的に明らかにし、さらに磁化率やESRを測定して、その配向特性を明らかにするとともに、常磁性液晶への磁場の効果を詳細に検討した。 (1)新規キラル液晶として、まず強誘電性を示す液晶を合成することにも成功し、2箇所のキラル二トロキシルグループをコアに持つので、その電気双極子と磁気双極子モーメントが2つの液晶相で顕著になることを明らかにして、強誘電体誌とAdvanced Materials誌に成果を発表した。小さい分子鎖(n〜6、7)をコア置換基としてもつラセミ体と(S,S)体では2つのネマチック相(N相とN^*相)を示すのみであったが、分子鎖を長くすると(n〜11、15)、2つのスメクチック相(Sm相とSm^*相)が発現した。開発した分子では2箇所にキラル構造をとっていることから自発分極の効果が強調されていることが明らかになった。(2)次にあまり長い直鎖を持たない分子においては分子間の磁気的相互作用を調べるためSQUIDの測定を行い、これまでに指摘がなされていない特別な分子間相互作用(二トロキシル部とβ-メチル炭素との間に働く)を発見し、学会誌に公表した。分子軌道計算も駆使して、2箇所がキラルな二トロキシドの新規な磁気相互作用を結論することができた。(3)ESR測定からの特徴的成果は分子配向の詳細な解析にある。多数の国際会議で成果を公表した。特にアメリカ化学会論文誌(J.Phys.Chem.)に発表した内容は、液晶セルに封入した上記新規キラル液晶の配向特性を二トロキシル部位のg-値の異方性から議論したもので、通常の液晶評価法では認められない結果を提供しており、学会で高く評価されている。加えて、本研究の究極の目的である、液晶の磁場配向効果の研究の鍵を捉えたとも考えており、本研究の最後となる来年度へ向けて、成果が期待される。現在電場印加型のESRセルを開発しつつあり、初歩段階の実験結果を蓄積中である。
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Research Products
(6 results)