2005 Fiscal Year Annual Research Report
イオン伝導性ガラスをトランスデューサーとする海水用溶存CO_2センサの開発
Project/Area Number |
17550134
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
又吉 直子 琉球大学, 理学部, 講師 (50295292)
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Keywords | 化学センサ / イオン伝導性ガラス / 溶存二酸化炭素 / 固体電解質 |
Research Abstract |
本研究では溶存CO_2センサのトランスデューサー部へのイオン伝導性ガラスの適用を試み、その可能性を検討した。 比較的低温で溶融の可能なAg^+イオン伝導性のx(AgI)-(x-1)Ag_2WO_4ガラスについて、文献を参考にx=0.8〜0.55、温度500〜400℃の範囲内で数種類を合成した。出発原料はAgIとAg_2WO_4、溶融液はステンレス板で挟み急冷した。x=0.8の場合はx=0.55の場合に比べて低温でも溶融し成形が容易であるがもろく、x=0.55の場合は冷却で用いたステンレス板との接触部分とその他の部分に違いが見られるなど、現在のところまだセンサ素子の作製に適するAg^+イオン伝導性ガラスが得られていないので、今後もさらに検討する。 Li^+イオン伝導性のガラスについて、今回は市販のガラス(膜状)を用いて素子を作製し溶存CO_2に対する応答特性を検討した。素子はガラス(0.2mm厚)の片面に検知極と参照極をもつ平面型構造で、検知極上に白金黒を電析、飽和炭酸塩溶液を滴下して補助相を固定した。30℃、pH7.0のリン酸塩緩衝液中における溶存CO_2に対する応答は、180〜1880ppmの濃度範囲で起電力との間に直線性を示し(傾き約25mV/decade)、90%応答時間は1〜4分で以前報告したLaF_3固体電解質素子の場合に比べて若干短いという結果が得られた。 溶液中のpH変化による素子起電力への影響を抑えるために素子の補助相上にpH緩衝層を取り付ける検討をLaF_3単結晶素子を用いて行った。緩衝層は緩衝液を天然高分子でゲル化させ、補助相としてNaCl溶液を同じ天然高分子でゲル化させて取り付けた2層構造をもつ検知極にした。この素子の蒸留水中の溶存CO_2に対する応答では緩衝層が有効であると考えられる結果が得られたが、pHに対する応答では明確な結果が得られなかったため今後も検討する予定である。
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