2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン伝導性ガラスをトランスデューサーとする海水用溶存CO_2センサの開発
Project/Area Number |
17550134
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
又吉 直子 琉球大学, 理学部, 講師 (50295292)
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Keywords | 化学センサ / イオン伝導性ガラス / 溶在二酸化炭素 / ガラスセラミックス / 固定電解質 |
Research Abstract |
本研究では、イオン伝導性ガラスをトランデューサーに用いた溶存CO_2センサを検討した.昨年度の研究結果では、素子に適したAg^+イオン伝導性ガラスの合成が難しいことがわかったので、今年度はLi^+イオン伝導性のLi_3Zr_2Si_2PO_<12>を合成し、その溶存CO_2センサへの適用を検討した。 Li_3Zr_2Si_2PO_<12>は文献を参考に、ゾルーゲル法により乾燥ゲルを得た後、様々な温度で焼成して得た。 XRDより焼成温度500℃の場合は非晶質、650℃以上では結晶化すること、 IR結果から650℃以下で焼成した場合と1000℃の場合では結合の様子が異なることがわかり、焼成温度は500℃が適切であると判断した。しかし、この温度ではガラスの様な形態は得られないので、今回は乾燥ゲルをいったん粉砕、ディスク成型後、焼成させたガラスセラミックスを素子の作製に用いた(イオン伝導率:10^<-8>〜10^<-6>S・cm^<-1>(室温下))。 ディスクの片面2カ所にAu極をつけ、検知極上にPt黒を電析後、飽和炭酸塩溶準を滴下して補助相とした素子を作製した。溶存CO_2に対ずる応答特性は30℃、 pH 7リン酸塩緩衝被中で素子起電力を測定した。溶存CO_2濃度104〜1308 ppmの範囲でNemst式に従う直線(n=4.0)が得られた(90%応答時間:2〜10分)。本素子は測定4回目から7回目までほぼ一定の値を示した。以前、NASICONディスクを用いた同様な素子の場合では測定回数ごとの安定性に問題があったが、今回の結果からは、Li_3Zr_2Si_2PO_<12>がNASICONディスクに比べて溶存CO_2センサのトランデューサーとして可能性のあることを示唆している。一方、LaF_3素子を用いた場合の結果と比較すると直線の傾きが小さいこと等、今後の課題もあった。 センサ応答のデータは研究期間後半に得られたので、学会発表と諭文投稿は今後行う。
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