2005 Fiscal Year Annual Research Report
新規π-d系有機磁性伝導体の開発とπ-d相互作用の構造的解明
Project/Area Number |
17550135
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山田 順一 兵庫県立大学, 大学院・物質理学研究科, 助教授 (90191311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 耕一 首都大学東京, 都市教養学部理工学系, 助教授 (40177796)
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Keywords | 反強磁性体 / 圧力誘起超伝導体 / 構造解析 / 静水圧 / フェルミ面 / π-d相互作用 / 有機超伝導体 / 一軸性ひずみ効果 |
Research Abstract |
本年度は、研究目的を達成するために以下の研究を行った。 1.反強磁性圧力誘起超伝導体β-(BDA-TTP)_2FeCl_4の圧力下での構造解析 β-(BDA-TTP)_2FeCl_4は、常圧で反強磁性体へ転移し、圧力下で超伝導性と共に磁気抵抗の急激な減少を示す。このような特徴的な物性と構造との関係を調べるために、8kbarまでの静水圧下での構造解析を行った。圧力による格子定数の減少から、a軸(ドナースタック間方向)、c軸(ドナースタック内方向)、b軸の順に圧力の影響を受けやすく、常圧で開いていたフェルミ面の一部(X点付近)が閉じる結果が得られた。今後は、X線構造解析の精度をさらに向上させ、π-d相互作用に関する計算を行う予定である。 2.新規有機超伝導体β-(BDA-TTP)_2I_3の開発 BDA-TTPから新たな圧力誘起超伝導体β-(BDA-TTP)_2I_3の開発に成功した。β-(BDA-TTP)_2I_3の常圧での半導体的挙動は9kbarまでの圧力下ではほとんど変化しなかった。しかし、約10kbar以上の圧力をかけると、伝導挙動に大きな変化が見られ、超伝導に由来する電気抵抗の落ちを示し、臨界温度(Tc)の開始が10.5Kまで達した。さらに、一軸性ひずみ効果を調べたところ、a軸方向(ドナースタック内方向)に圧力をかけた場合、超伝導性を示さなかったが、c軸方向(ドナースタック間方向)に圧力をかけると、超伝導性が現れることを明らかにした。また、a軸方向の圧力下では、仮想的なバンド計算から導かれたフェルミ面は二次元的になり、c軸方向の圧力下ではフェルミ面にポケットが生じた。したがって、β-(BDA-TTP)_2I_3の超伝導相は反強磁性絶縁相に近いことが示唆される。これを確かめるために、実際に一軸性圧下での構造解析を行ってバンド計算を行う予定である。
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Research Products
(9 results)