2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規π-d系有機磁性伝導体の開発とπ-d相互作用の構造的解明
Project/Area Number |
17550135
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
山田 順一 兵庫県立大学, 大学院物質理学研究科, 助教授 (90191311)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊地 耕一 首都大学東京, 都市教養学部理工系, 教授 (40177796)
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Keywords | 磁性イオン / X線構造解析 / κ-タイプ / 金属的挙動 / β-タイプ / 半導体的挙動 / 弱強磁性体 / 強磁性転移 |
Research Abstract |
研究目的を達成するために、本年度は主として以下の研究を行った。 1.磁性イオンCu_2Cl_6^<2->とCuCl_4^<2->を含むBDH-TTP塩とBDA-TTP塩の作製 BDH-TTPとCu_2Cl_6^<2->およびCuCl_4^<2->を用いて単結晶の作製に成功した。X線構造解析により、これらの塩におけるBDH-TTP分子は、κ-タイプで配列していることを明らかにした。κ-(BDH-TTP)_4Cu_2Cl_6とκ-(BDH-TTP)_4CuCl_4は、ともに4.2Kまで金属的挙動を示した。一方、同じ二つの磁性アニオンとBDA-TTPからは、それぞれβ-タイプの塩が得られた。β-(BDA-TTP)_4Cu_2Cl_16とβ-(BDH-TTP)_2CuCl_4は、ともに半導体的挙動を示した。このように、磁性イオンを含む新たなBDH-TTP塩とBDA-TTP塩の作製に成功したので、今後は、(i)常圧下での磁気的挙動と(ii)圧力下での伝導挙動・磁気挙動を解明する予定である。 2.弱強磁性体(BDH-TTP)[M(isoq)_2(NCS)_4](M=Cr^<3+>,Fe^<3+>;isoq=isoquinoline)に及ぼす圧力効果の解明 磁性イオンCr^<3+>とFe^<3+>を含む標題物質は、常圧下、それぞれT_c=7.6Kで弱い強磁性転移を示す。これらの物質に及ぼす圧力効果を調べたところ、9kbarにおける(BDH-TTP)[Cr(isoq)_2(NCS)_4]の転移温度(T_c)は16.6Kまで上昇し、(BDH-TTP)[Fe(isoq)_2(NCS)_4]のT_cは11.6Kまで上昇することを見出した。今後は、圧力下での構造解析を行い、T_cの上昇と構造変化の関係を明らかにする予定である。
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Research Products
(14 results)