2006 Fiscal Year Annual Research Report
土壌の理化学特性変化に伴う土中水銀の形態変化とその可溶化について
Project/Area Number |
17550148
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Research Institution | National Institute for Minamata Disease |
Principal Investigator |
松山 明人 国立水俣病総合研究センター, 疫学研究部 リスク評価室, 室長 (00393463)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
井村 隆介 鹿児島大学, 理学部, 助教授 (40284864)
冨安 卓滋 鹿児島大学, 理学部, 教授 (60217552)
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Keywords | 総水銀 / メチル水銀 / 溶出試験 / 環境要因 / 組み合わせ実験 |
Research Abstract |
中国貴州省水銀汚染土壌約200試料について、昨年度に引き続き統括的に分析および解析を実施した。中国の他に、タンザニア、ニカラグア等の諸外国より水銀汚染土壌を入手し各種分析を実施したが、水銀汚染の履歴が明確でないこと及び、入手試料の状態が各々不均一であったことから、得られた分析データも一様に評価できないことがわかった為、本課題研究については、中国水銀汚染土壌を中心として行うこととした。昨年の結果より、化学形態別水銀の溶出特性には大きな違いがある。すなわち、溶出試験結果で得られた水銀溶出量の関係でみると、総水銀とメチル水銀の間には全く相関関係が認められない(r=0.18)。更に、土壌中の総水銀濃度および溶出総水銀濃度との関係でみた場合、相関関係は認められたが(r=0.61)、土壌中のメチル水銀濃度および溶出してくるメチル水銀濃度との間には相関関係が認められない(r=0.28)。今年度は土壌から溶出してくるメチル水銀が土壌要因の何と相関が認められるのかについて検討したところ、結果として土壌中の電気伝導度(EC)と相関が認められた(r=0.69)が、他の有機物含有量やpHといった一般的な土壌条件とに相関は全く認められなかった。また他に、我が国を代表する4土壌種(黒ぼく土、褐色森林土、赤黄色土、砂質土)による模擬水銀汚染土壌(総水銀濃度100ppm)を作成し、約半年間にわたり恒温室内で土壌中の含水比を変化させないで培養を実施した結果、土壌中での水銀形態変化が土壌種の違いで各々あることが判った。、総水銀含有量については、褐色森林土が経時的に濃度が低下したのに対し、他の土壌では変化はなかった。総水銀溶出量では、赤黄色土が序如に増加し最終的に添加した量の約半分量が溶出したが、他の土壌では全く溶出しなかった。メチル水銀についても同様に含有量、溶出量等について検討を行いたいへん興味あるデータが得られた。上記土壌を対象に人口気象培養装置を用いて、光、培養温度、土壌水分などの環境要因を変化させた組み合わせ実験を3ヶ月間にわたり連続で実施した。その結果、半年間の培養で化学的な挙動が安定化した土壌であっても、土壌周辺の環境が急激に変化することにより、また新たな反応が土中で起こり室内での培養時とは全くことなる傾向を示すことがわかった。
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Research Products
(1 results)