2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17550149
|
Research Institution | Tokyo University of Agriculture and Technology |
Principal Investigator |
中村 暢文 東京農工大学, 大学院・共生科学技術研究部, 助教授 (60313293)
|
Keywords | シトクロムP450 / 表面増強共鳴ラマンスペクトル / サイクリックボルタンメトリー / 酵素 / 触媒反応 / 部位特異的変異 / 非水溶媒 / 化学修飾 |
Research Abstract |
チトクロムP450(P450)が工業的な応用にまで至っていない主な理由が2つある。1つは、安定ではないこと。もう1つは、酵素活性を維持するためには酸化還元パートナーである電子伝達タンパク質が必要なことである。また、酵素の性質にもまだ不明な点が多い。そこで、本研究では、耐熱性のP450を用い、電極による電子移動制御を可能とする方法を確立することを第一の目的として研究を行った。酵素の酸化還元応答を直接電極で制御すること(直接電気化学)ができれば、容易に酸化還元電位を測定できることになり、変異導入P450の測定により、この酵素の酸化還元電位を支配している要因を解明できると期待される。加えて、電気化学的なセンサーやリアクターなどの応用への道が開けることになる。 様々なヘムタンパク質のダイレクトな酸化還元応答の測定に有効であると報告されている、ジドデシルジメチルアンモニウムブロマイド(DDAB)との混合溶液を電極上へキャストする方法を用いて、野生型P450の直接電気化学測定をおこなった。明瞭な酸化還元応答を得られたが、基質及び酸素存在下で測定しても触媒電流は観測されなかった。そこで、表面増強共鳴ラマン分光法による、電極上の膜中に導入されたP450の状態検討をおこなった。ラマンスペクトルから、DDABで膜を形成させた場合、鉄イオンのスピン状態が変化しているものがあり、DDABが基質の結合サイトに入り込み阻害剤として働いているケースがあることが示唆された。また、新規な直接電気化学法を検討し、ポリエチレンオキシド修飾したP450を用いてキャスト固定するという簡便な方法で酸化還元応答を得ることもできた。来年度の実験で用いる、システイン周りの残基を置換したミュータントを3種類作成し、精製することができた。これらのサンプルに関して、分光学的性質や電気化学的性質について検討する予定である。
|
Research Products
(5 results)